文責:パワー・インタラクティブ マーケティング推進室
日用品や生活雑貨の通信販売を主力とするS社。社員数は約150名で、BtoC領域において安定したオペレーション体制を築いてきました。広告運用・Web更新・SNS施策を外部パートナーに任せ、日々の業務は滞りなく回してきました。
しかし、競合増加と顧客ニーズ多様化で売上成長が鈍化し、「どの施策が成果に貢献しているのか把握できない」という課題は、投資判断にも影響を及ぼしていました。
そこでS社は“委託中心”体制を見直し、社内に戦略立案とデータ分析を担うチームを新設しました。施策・チャネル別のKPIをダッシュボードで可視化しPDCAを高速化。さらに広告投資配分や新規施策の優先順位をリアルタイムで最適化し、顧客獲得コストを抑えながらLTVを向上させています。
本事例では、こうして戦略と現場運用のギャップを解消し、持続的に成果を伸ばすマーケティング基盤を確立したプロセスを紹介します。
S社ではすでに外部支援会社に対して、広告運用やLP更新、SNS運用などの実務を委託しており、日常的なオペレーション業務は問題なく機能していました。
しかし、支援会社の主眼は「日々の運用を回すこと」に置かれており、新たな施策や抜本的な改善提案が上がってくることは少なく、マーケティング活動は次第に停滞感を帯び始めていました。
キャンペーンや広告運用は、同じような手法の繰り返し。結果として新規顧客の獲得も、リピーターの活性化も頭打ち状態に。
さらに、施策の効果検証やレポーティングは支援会社に任せきりで、社内では「どの施策が効率的か」が見えず、判断ができない状態でした。
新たなマーケティングツールやデータ分析基盤の導入を検討する場面もありましたが、「現状のオペレーションが止まるのではないか」というリスクが先に立ち、なかなか踏み出せませんでした。
加えて、「成果が見えない」→「追加投資がしづらい」という経営層の意識が、この停滞をさらに強化する悪循環を生んでいたのです。
S社が目指したのは、「属人的な運用から脱却し、データに基づいたマーケティング判断と改善が日々の業務に根づく体制の構築」でした。パワー・インタラクティブはこの課題に対し、現状の施策アセスメントからKPI可視化、戦略的なコンテンツ設計、運用体制の再構築までを一貫して支援しました。
まずはマーケティング部門と既存の運用支援会社に対するヒアリング、ならびに広告・LP・SNSなどの施策データの精査を通じて、成果が見えにくくなっていたボトルネックを可視化。各チャネルのROASやCVRの推移、新規・リピーターそれぞれの離脱ポイントを明らかにしました。
次に、購買データや顧客ステージに基づいてターゲットセグメントを再定義。新規・リピーター・休眠といったフェーズごとのコミュニケーション設計とコンテンツの切り口を整理し、広告やメール、SNS運用に反映させる戦略的施策設計を行いました。
加えて、BIツールを用いたダッシュボードを新たに構築し、各施策のKPIを一元的に確認できる仕組みを整備。支援会社による日々の運用データも含めて統合管理し、マーケティング責任者や経営層がリアルタイムで意思決定できる体制を実現しました。
施策運用フェーズでは、キャンペーン単位でのPDCAを加速させる仕組みとして、月次の改善レポートと振り返りミーティングを定例化。当社が戦略・分析面を担いながら、既存の支援会社が実務を回す体制と連携し、改善提案の質と頻度を高めました。
さらに、S社内の少数精鋭メンバーに対しては、ダッシュボードの活用法やKPI設計、施策のレビュー手法に関するトレーニングも実施。将来的な内製化と継続的な改善に向けた運用力の底上げを図りました。
こうしてS社では、オペレーションを外部委託しながらも、戦略性と柔軟性を兼ね備えたマーケティング体制を再構築。成果が見える“判断できるマーケティング”へと進化することができました。
新規キャンペーンとターゲット別施策の導入により、広告CTRは15%向上。ダッシュボードによって、各施策の成果を数字で確認・判断できる体制が整いました。
“作業代行”だった支援会社が“改善提案のパートナー”へと意識転換。施策提案が循環し、PDCAが活性化しました。
購入者データのセグメント化とパーソナライズ配信の強化により、リピート購入率は5ポイント増加。LTV向上にも貢献しました。
支援会社のオペレーション能力を活かしつつ、S社内に少数精鋭の分析チームを設置。柔軟かつ安定的なマーケティング運用体制を実現しました。
S社は、再構築したマーケティング体制を基盤に、新規チャネルの開拓やロイヤル顧客の育成にさらに注力していく計画です。施策の可視化とPDCAの定着により、戦略を“立てて終わり”にせず、現場レベルで継続的に改善と検証を繰り返せる段階に入りました。
今後も、支援会社との役割分担を維持しつつ、社内の分析チームがダッシュボードを活用しながら成果指標をモニタリング。必要に応じてコンテンツの見直しやターゲットの再定義、運用ルールの調整を柔軟に行っていく予定です。
定期的なレビューとコンサルティングのチェックインを通じて、組織全体として“成果を基点とした意思決定”を続けられる状態を維持していきます。
S社のプロジェクトに関わる中で、最も印象的だったのは、データ活用を通じて見える化を実現したことです。従来、外部委託先に依存していた運用がマンネリ化し、成果が見えにくくなっていました。私たちはまず、KPIを明確にし、施策ごとのデータを一元管理する仕組みを構築しました。その結果、S社のマーケティングチームはデータに基づく判断を行えるようになり、PDCAサイクルを迅速に回せる体制が整いました。
このプロジェクトでは、単に施策を実行するだけではなく、マーケティングの戦略と実行が一体となった体制を作り上げました。外部支援会社との連携を強化し、社内チームが主体的に施策を改善・運用できるようになった点が、成果に直結しました。今後も、このデータ活用のフレームワークを基盤に、さらに成長を支援していくことが楽しみです。
このような成果を実現するための支援を提供するのが、私たちの「GTMアクセラレートコンサルティングサービス」です。当サービスは、戦略の策定から実行、KPIの可視化まで、マーケティング活動を効果的に加速させるための支援を一貫して行います。戦略的な施策設計をはじめ、部門間の連携強化やデータ統合を通じて、マーケティングの実行力を高め、持続可能な成果を生み出す体制の構築をサポートします。
「戦略はあるが実行が難しい」「部門間の連携がうまくいかない」といった課題を抱えている企業様にとって、私たちのサービスは確実にお役立ちできるものと自信を持っています。ぜひ、私たちと一緒に、実行可能なマーケティング体制を構築し、成果を上げていきましょう。
パワー・インタラクティブ マーケティング推進室
2025.06.10
2025.05.12
2025.05.12