顧客を「見る・診る・観る」──パワー・インタラクティブこれからの価値提供
顧客理解を再定義する
2025年10月3日~4日にかけて、私たちパワー・インタラクティブは四半期に一度の全社研修「All Meeting」を大阪で開催しました。
今回の研修テーマは「顧客を見る・診る・観る」です。このテーマを設定した背景には、マーケティングオートメーション(MA)市場の成熟、そして生成AIの急速な拡大という事業環境のめまぐるしい変化があります。このような時代において、「私たちは誰の、どんな課題を解決しているのか」という事業の根幹が、逆に見えにくくなってはいないか。そんな危機感から、もう一度原点に立ち返ることにしました。
2日間の研修を通じて「顧客理解の深化」をはかるワークショップと、そこから見えてきたパワー・インタラクティブの新たな価値提供の方向性について社員全員で議論しました。
なぜ今、バリュープロポジションを見直すのか
研修のゴールは、当社のバリュープロポジション、すなわち「顧客への提供価値」を再構築することにありました。その背景には、大きく3つの環境変化があります。
1.ターゲット顧客層の変化: MA市場の成熟に伴い、顧客層が拡大。変化する顧客層に対し、私たちの価値が正しく伝わる言葉になっているかを見直す必要がありました。
2.訴求したいイメージとのギャップ: 私たちは、MA導入・活用支援から、データ活用やMOps/RevOpsを支援するコンサルティング会社へと進化しています。その実態を社外に正しく伝えきれていない課題がありました。
3.AIの爆発的な拡大: 生成AIの登場で、コンサルティングの価値そのものが問われています。この変化の中で、独自の価値を再定義する必要がありました。
議論のなかで、バリュープロポジションは「顧客が望む価値」「自社が提供できる価値」「競合他社が提供できない独自の価値」の3つが重なる部分で定義されることを再確認しました。(図表1参照)
競争の激しい既存市場(レッドオーシャン)から抜け出し、新たな市場(ブルーオーシャン)を創造するためにも、提供価値の言語化が不可欠であるという共通認識を形成しました。
図表1:バリュープロポジションとは
顧客理解を三層で捉える思考フレーム「見る・診る・観る」
顧客理解の深化をはかるため、今回の研修の核となったのが、「顧客を見る・診る・観る」という三段階の思考フレームです。
・見る(客観的な事実): データや顧客の行動など、目に見える事実を客観的に捉える。
・診る(課題・インサイトの考察): 事実の背景にある顧客の課題や意思決定の理由を深く分析し、インサイトを導き出す。
・観る(市場全体を俯瞰): 顧客を取り巻く市場全体や事業の文脈を俯瞰し、本質的なニーズを捉える。
これまでの私たちは、商談数やリード数といったKPIを中心に施策を最適化してきました。しかし、数字を追うだけでは、顧客が抱える真の「なぜ」にはたどり着けません。本質的な価値提供とは、顧客が描く未来を深く理解し、その実現を後押しすることにあるはずです。
この「三層の視点」で自社の提供価値を全社員で再定義すること、それが今回の研修の大きな目的でした。
各サービス領域のGTM(Go-To-Market)戦略の共有で見えた顧客のリアル
研修でおこなわれたセッションでは、各サービス領域の担当者が日々の業務で向き合っている顧客のリアルな姿や課題認識を社内全体に共有しました。
Adobe Marketo Engage支援領域
顧客の多くがAdobe Marketo Engage(以下、Marketo)を導入しているものの、「データ活用ができていない」「そもそも何から手をつければいいか分からない」といった根源的な課題を抱えていることが報告されました。私たちは、Marketoの知見だけでなく、GA4など複数ツールを扱える総合力や業界知識を強みとしています。
今後は、データ、コンテンツ、組織論を組み合わせ、新たな市場を再定義していく視点が重要であることが示されました。
データマネジメント支援領域
「データが部門ごとに散在している」「業務が属人化している」といった顧客の課題に対し、画一的ではない「個別カスタマイズ対応」が顧客から評価されています。上流の戦略から実行まで一貫して支援できることが最大の強みである一方、今後は専門性をさらに先鋭化させ、「この領域ならパワー・インタラクティブ」と第一想起されるブランドを構築していく必要性が議論されました。
戦略支援領域
「マーケティング部門が営業部門の下請けになっている」「マーケティング活動の成果を経営層に証明できない」といった共通の顧客課題が見られます。私たちは、データ分析に基づいた客観的な事実をもって経営層を説得し、複雑な課題を解きほぐすパートナーとしての役割が求められています。
ワークショップから見えてきた、顧客の真のニーズ
経営陣や各サービス領域の担当者からのインプットをふまえ、最終セッションでは「私たちが解決すべき顧客の潜在ニーズは何か」をテーマに、チームでディスカッションするワークショップをおこないました。
白熱した議論から浮かび上がってきた、4つのキーワードをご紹介します。
1.マーケティング部門を「育て上げる」支援
部門最適に留まっている活動を、企業全体の成果に繋げられるマーケティング部門へと「育て上げること」。これは単なる業務支援を超え、「マーケティングは経営である」という視座をお客様に提供する、組織変革の支援です。
2.「先行きを見通せる安心感」の提供
MAやWebサイトといった個別施策を連携させ、最終的な売上貢献までを可視化すること。そして、施策を標準化・仕組化する業務設計までを支援することで、お客様が「先行きを見通し、安心してプロジェクトを進めたい」と感じる状態を作り出す価値です。
3.手探り状態から脱却する「マーケティングの壁打ち相手」
RevOpsやAI活用といった新たな潮流に対し、お客様は手探り状態で前に進もうとしています。単なるアドバイスではなく、自社の方針を深く理解した上で、半歩から一歩先を示す具体的な助言や主導的な判断をしてくれる、信頼できる「壁打ち相手」を求めているのではないか、というインサイトです。
4.すべてを任せられる「一貫したサポート」
データ基盤の整備から施策実行、さらにはAIを活用した未来のマーケティングまで。複数の会社に依頼するのではなく、パワー・インタラクティブに任せればすべてを一貫して支援してもらえる。そんな全体像を描けるパートナーシップへの強い期待です。
顧客理解の深化が、次の競争優位を生む
2日間の研修を通じて、改めて確信したのは、「顧客を深く理解する力」こそが、これからの成長を支える土台であるということでした。
顧客のデータを「見て」、行動の背景を「診て」、市場や文脈全体を「観る」。
この三層構造で顧客を捉え、日々の業務における「小さな気づきや感覚」を組織全体で共有し、新しい価値提案へと昇華させていく。そのプロセスこそが、イノベーションの源泉となります。
設立から28年、再来年には30年目という節目を迎える私たちが蓄積してきた多様なナレッジは、何よりの財産です。これからも社内でのナレッジシェアとコミュニケーションを活性化させ、潜在的な価値を最大限に引き出し、顧客の意思決定と成長を支える真のパートナーへと進化していきます。
マーケティングコンサルタント
佐野 陽子
コンテンツマーケティング
BtoB事業会社のインハウスWebチームリーダーとして、コンテンツ制作やWebサイトの運用改善、SEOなどを中心にコンテンツマーケティングを推進。その後、パワー・インタラクティブに参画し、現在は自社コンテンツのディレクションを担当。クリエイティブ分野への深い造詣とビジュアルデザインの知見を活かし、より魅力的なコンテンツづくりに日々取り組んでいる。



