コラム

成果が出るダイナミックコンテンツの基本と設定(メールアセット設定編)

執筆者:MA運用ディレクター 木内 健太郎

本コラムは、全3回の連載形式でAdobe Marketo Engage(以下Marketo)のパーソナライズ機能を解説しています。

メールアセットにおけるダイナミックコンテンツの実装意義

パーソナライズ施策の成否は、いかにターゲットの属性や状態に合致したコンテンツを出し分けられるかにかかっています。Adobe Marketo Engage(以下Marketo)のダイナミックコンテンツは、この「出し分け」を1つのメールアセット内で完結させ、運用負荷を抑えながらメッセージを最適化できる強力な機能です。

この機能をメールアセットに組み込むことで、次の3つの大きなメリットが得られます。

メッセージの「パーソナライズ」
属性に合わせたコンテンツの自動差し替えで、開封率・クリック率が向上します。

運用工数の大幅削減
1つのアセットで複数ターゲットへのパーソナライズが完結。アセットの乱立を防ぎ、修正作業の工数を最小化します。

成果分析の加速
セグメント別の効果を一つのレポートで比較検証し、PDCAサイクルを高速化します。

前回の[第1回 セグメント設定編]では、セグメンテーションの構築手順を解説しました。
第2回はメールアセット設定編です。
実際にメール内でコンテンツを出し分ける「ダイナミックコンテンツ」の実装手順に焦点を当てます。

メールアセット設定の手順、ポイント

ここでは、メールアセット編集画面でセグメンテーションを活用し、コンテンツをパーソナライズして出し分けるための基本的な設計と設定手順を解説します。

設定例のテンプレートには、導入担当者が最初に利用することの多い Personal Note を取り上げます。

【設計上の補足】
セグメンテーションとダイナミックコンテンツを本格的かつ継続的に活用する場合は、後述する注意点を踏まえ、カスタムテンプレートの利用を推奨します。

1. ダイナミックコンテンツの設計

メールアセットの編集に入る前に、メール内のコンテンツをあらかじめ整理し、共通部分と動的部分(ダイナミックコンテンツ)を明確にすることが、後の運用効率を大きく左右します。

項目 定義
共通部分 すべてのセグメントに共通して表示する内容
(例:ヘッダー、企業ロゴ、フッターなど)
動的部分
(ダイナミックコンテンツ)
セグメント別にパーソナライズして差し替える必要のある内容
(例:役職別の訴求メッセージ、役職に応じた事例紹介など)

【設計メモの推奨】
どのブロックをダイナミック化するかを、作業前に一覧表などで明確に定義しておきましょう。
これにより、メールアセットの複製を避け、修正漏れや設定ミスといった手戻りを防ぐことができます。

2.Personal Note テンプレートでパーソナライズを実現する方法

Personal Noteは、デフォルトでは「一つの大きな編集エリア」しかありません。そのため、挨拶などの共通部分と、セグメントごとに変えたい動的部分を切り分けるには、テンプレート側に「複数の編集エリア」を作るというひと工夫が必要です。

2-1.mktoTextタグで「編集エリア」を分割定義する
複数の編集エリアを構築するには、mktoText というMarketo専用タグを利用した設計が不可欠です。

mktoTextの役割
メール編集画面上で、独立した一つの編集エリアを定義するための専用タグです。

エリア分割のメリット
「共通部分は固定しつつ、特定の段落だけを動的に差し替える」という柔軟な運用が可能になります。
参考)メールテンプレート構文(mktoText):
https://experienceleague.adobe.com/ja/docs/marketo/using/product-docs/email-marketing/general/email-editor-2/email-template-syntax#option-mktotext

2-2.動的部分をセグメンテーションと紐づける手順
エリアの分割ができたら、次に「どのエリアを、誰に向けて出し分けるか」を設定します。

1)対象のエリアを「動的に設定」する
編集画面で対象のエリアを選択し、[設定]から「動的に設定」をクリックします。これにより、そのエリアがセグメント別に編集可能な状態に切り替わります。

2)ターゲットとなるセグメンテーションを割り当てる
次に、パーソナライズの基準となるセグメンテーションを選択します。例えば「役職」を選択すれば、役職ごとにコンテンツを出し分ける準備が整います。

3)各セグメント専用のコンテンツを入力する
設定後、画面右側に表示される各セグメント(例:「部長職相当」など)を切り替えながら、それぞれのターゲットに刺さるメッセージを入力します。これで、ダイナミックコンテンツの実装は完了です。

「部長職相当」「課長職相当」に応じたコンテンツを表示できます。

3. 運用効率を高める設計上の注意点

3-1.HTML編集は必ず「動的設定」の前に完了させる

ダイナミックコンテンツ設定後に編集エリアを追加・削除したくなった場合、一度設定を解除しなければなりません。解除すると各セグメントの内容がリセットされてしまうため、「エリア定義を完璧にしてから動的化する」ことが、手戻りを防ぐ絶対のルールです。

3-2.2段階の「実機確認」を徹底する

パーソナライズされたコンテンツの表示崩れや設定ミスは、編集画面上では気づきにくいことがあります。そのため、配信前には必ず以下の2段階で確認を行いましょう。

1)プレビュー機能での全セグメント確認
Marketoのプレビュー機能を使用し、設定したすべてのセグメントを切り替えながら、コンテンツが意図した通りにパーソナライズされているかを確認します。

2)サンプルメールでの最終チェック
最終工程として、各セグメントに該当するリード情報を利用してサンプルメールを送信し、実際の受信環境で問題がないかを必ず確認してください。

まとめ

今回は、メールアセットにおけるダイナミックコンテンツの具体的な設定手順と注意点を解説しました。テパーソナライズを成功させ、スムーズな運用を実現するためのポイントは以下の3点です。

事前設計の徹底
「共通部分」と「動的部分」をあらかじめ切り分け、境界線を明確に定義しておくことが運用効率を左右します。

設定順序の遵守
ダイナミック化後は編集エリアの追加・削除に制限が出るため、HTMLコードの調整は「動的に設定」を行う前に完了させ、手戻りを防ぎましょう。

2段階の最終確認
プレビュー機能での全セグメント確認と、実機へのサンプルメール送信。この両方を行うことが、配信ミスを防ぐための重要なステップです。

「設定した後の確認」までが実装の一環です。これらを習慣化することで、自信を持ってパーソナライズメールを配信してください。

最終回となる第3回 レポート設定編では、配信後のセグメント別成果を可視化するための、具体的なレポート設定手順について解説します。

Adobe Marketo Engageテクニカルサポートのご紹介

Adobe Marketo Engage のセグメンテーションやダイナミックコンテンツは、正しく設計・運用できれば大きな成果を生む一方で、テンプレート構造やセグメント設計、配信タイミングなど、実務上の判断が求められる場面も多く存在します。

特に、
・複雑なセグメンテーションロジックの設計
・ダイナミックコンテンツを前提としたテンプレート設計
・配信後のトラブル原因の切り分け
といった領域では、一人で抱え込むことで検証や改善に時間がかかってしまうケースも少なくありません。

そのような場合は、Adobe Marketo Engage に精通したパートナーのテクニカルサポートを活用することも有効な選択肢です。

弊社が提供する Adobe Marketo Engage テクニカルサポートでは、経験豊富な専門コンサルタントがMarketo 運用における技術的な課題解決を支援しています。

Marketo 運用に関する技術的な判断やトラブル対応でお困りの際は、専門家の知見を活用することで、より安定した運用につなげることができます。

▶ 弊社のAdobe Marketo Engageテクニカルサポートの詳細・ご相談はこちら

木内 健太郎

MA運用ディレクター

木内 健太郎

マーケティングオートメーションオペレーション業務

事務処理系のプログラマー、CGアニメーターを経て2015年にパワー・インタラクティブに入社。
HTMLコーダーとして多数のWebサイト制作に携わりながら、現在はAdobe Marketo Engage オペレーション業務に従事。
チームの黒子としてメンバーのサポートをするのが生きがい。

TOP