Googleアナリティクス4(以下、GA4)の表示回数データは、Webサイトやアプリのユーザーエンゲージメントを理解し、改善するために欠かせない指標だ。その真の力を引き出すには、BigQueryとの連携が鍵となる。この記事では、表示回数データの確認の仕方から、他のデータソースと統合することで得られる深いインサイトと、それを活用するための事例を紹介する。
GA4では、「表示回数」はページビューを表す重要な指標だ。
ユーザーがWebサイト上のページを閲覧するたびに、表示回数がカウントされる。
表示回数は、他の重要な指標であるユーザー数、セッション数とは異なる。
- ユーザー数:一定期間内にWebサイトを訪問したユニークユーザーの数
- セッション数:ユーザーがWebサイトを訪問してから離脱するまでの一連の行動の数
表示回数は、ページが読み込まれた回数を表す。
つまり、1人のユーザーが同じページを複数回閲覧した場合、表示回数は増加するが、ユーザー数とセッション数は変わらない。
GA4では、表示回数は「イベント」の一部として記録される。Webサイト全体の表示回数を確認するには、以下の手順を実行する。
1. GA4のレポート画面にアクセスする。
2. 左側のメニューから「ライフサイクル」>「エンゲージメント」>「イベント」を選択する。
3. 「イベント」レポートの「イベント名」列の「page_view」のイベント数が、Webサイト全体の表示回数になる。
ページ別の表示回数を確認するには、以下の手順を実行する。
1. GA4のダッシュボードで「レポート」 > 「ライフサイクル」 > 「エンゲージメント」と進む
2. 「ページとスクリーン」タブをクリック
3. ページタイトルやページパス別の表示回数を確認
4.デフォルトでは「ページパスとスクリーンクラス」のディメンションを「ページ タイトルとスクリーン クラス」に変更することで、ページタイトル別の数値を確認できる。検索窓から、任意のワードで絞り込むことができる。
GA4の「探索」機能を使用して、カスタマイズされたレポートで表示回数を確認することもできる。
1. 「探索」セクションで新しいレポートを作成
2. ディメンションとして「ページタイトル」を選択
3. 指標として「表示回数」を選択
4. 必要に応じて、他のディメンションやセグメントを追加して、表示回数データを詳細に分析
このように探索レポートを作成することで、ページタイトルごとの表示回数を表示し、詳細な分析をおこなうことができる。
GA4では、従来のGoogleアナリティクスで使用されていた「ページビュー数」という指標が「表示回数」に変更された。
「表示回数」は、GA4においてデフォルトで計測される指標で、ページに訪問したタイミングで発火するイベントである。計測ロジックとしては、ページが読み込まれたとき、閲覧履歴のステータスが変更されたときにGA4側で自動でイベントを収集している。
これにより、ユーザーがページを実際に閲覧したかどうかを正確に判断できる。
GA4は、イベントベースのデータモデルを採用しており、「表示回数」は「page_view」イベントとしても記録されている。
このアプローチにより、ユーザー行動のより詳細な分析が可能になる。
「表示回数」という指標は、Webサイトとアプリの両方で使用できるため、データの統合とレポーティングがシームレスになる。
GA4における「表示回数」への変更は、ユーザーエンゲージメントの正確な測定、イベントベースのデータモデルの採用、アプリとWebサイトの統合など、複数の重要な理由に基づいている。この変更により、Webサイトやアプリのパフォーマンスをより効果的に分析できるようになる。
GA4とBigQueryを連携することで、表示回数データを他のデータソースと統合し、より深いインサイトを得ることができる。以下は、BigQueryと連携して表示回数データを活用するための3つのアイデアだ。
BigQueryでは、GA4の表示回数データをユーザー属性データ(年齢、性別、地域など)と結合することができる。
これにより、ユーザーセグメント別のページ閲覧行動を分析し、各セグメントに最適化されたコンテンツやマーケティング施策を立案できる。
例えば、自社の会員データと組み合わせることで、会員ユーザーの表示回数が多いコンテンツ群の特徴を探り、各年齢層が好むコンテンツやページを特定できる。この情報を基に、年齢層ごとにパーソナライズされたコンテンツを提供したり、ターゲティング広告を配信したりすることで、ユーザーエンゲージメントの向上を図ることができる。
表示回数データをコンテンツ管理システム(CMS)のデータと統合することで、各コンテンツのパフォーマンスを評価できる。BigQueryでは、記事の属性(カテゴリ、著者、公開日時など)と表示回数データを結合し、最も効果的なコンテンツの特徴を特定できる。
この分析により、ユーザーエンゲージメントが高いコンテンツのカテゴリ、著者、フォーマットなどを明らかにできる。例えば、特定のカテゴリの記事が常に高い表示回数を獲得していれば、そのカテゴリに関連するトピックを深掘りすることで、ユーザーエンゲージメントのさらなる向上が期待できる。
また、著者ごとのパフォーマンスを評価し、高パフォーマンスの著者に追加のコンテンツ制作を依頼するなど、データに基づいたコンテンツ戦略の意思決定が可能になる。
広告プラットフォームのデータをBigQueryに取り込み、GA4の表示回数データと統合することで、広告の効果を測定できる。各広告キャンペーンやクリエイティブが、Webサイトやアプリ内でのユーザーエンゲージメントにどのように影響しているかを分析し、広告戦略の最適化に活用できる。
例えば、特定の広告キャンペーンを経由してWebサイトに到達したユーザーの表示回数データを分析することで、そのキャンペーンがユーザーエンゲージメントに与える影響を定量化できる。高パフォーマンスのキャンペーンには予算を集中的に配分し、低パフォーマンスのキャンペーンは改善または中止するなど、データに基づいた意思決定が可能になる。また、広告クリエイティブごとの表示回数データを分析することで、ユーザーエンゲージメントを促進する広告クリエイティブの特徴を明らかにし、今後の広告制作に活かすことができる。
GA4とBigQueryの連携により、表示回数データを他のデータソースと統合し、より高度な分析とインサイトの発見が可能になる。これらのアイデアを活用することで、Webサイトやアプリのユーザーエンゲージメントを向上させ、ビジネスの成長に貢献できる。
当社ではGA4の支援を網羅的に行っている。GA4の初期設定からBigQueryを活用した難易度の高い分析用のダッシュボード構築などを幅広く提案できる。
また、当社ではMAツールとGA4を連携させたマーケティングに特化した設定などの支援もおこなっているので、興味ある方は、ぜひこちらの「お問い合わせ」から連絡いただけると幸いだ。
マーケティングデータアナリスト
安川 大
2024.09.24
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