Looker StudioのPartner Connectors（CData Connect Cloud） を利用してMarketoデータを可視化する

コネクタを利用することで、通常のプロセスではETLを活用し、データストレージに蓄積し、データウェアハウス（以下、DWH）で加工し、Looker StudioからDWHのテーブルを参照するプロセスを省略することが可能ですが、もちろんデメリットもあります。

メリット

1.ETLプロセスの排除
上記の通り、面倒なプロセスを踏むことなく、データの可視化を実現することができます。

2.多様なデータソースとの連携
様々なデータソースと連携ができ、Looker Studio上で複数のデータソースを統合し、一元的な分析を行うことができます。

3.データのリアルタイム性
一部のデータソースでは、リアルタイムでデータが更新されるため、最新の情報に基づいて分析を行うことができます。

4.データへのアクセス範囲の拡大
サードパーティサービスのアカウント数の制限により利用するユーザーが限定されることがありますが、Looker Studio上でコネクタを利用することで、多くのユーザーがLooker Studio経由でサードパーティサービスのデータを参照することが可能です。

デメリット

1.サードパーティ側のAPI制限
サードパーティサービスのAPIには、1時間あたりのリクエスト回数、1日あたりのリクエスト回数などの制限が設けられていることがあります。制限を超えることで、データ取得が中断されたり、エラーが発生することがあります。

2.パフォーマンスの低下
接続先のデータ量が多い場合や、API制限により、データ表示の速度が低下するなどのパフォーマンス低下が発生する可能性があります。

3.有償利用のコネクタが多い
Google Connectorsの場合は利用料金は発生しませんが、Partner Connectorsを利用する場合は、利用料金が発生する可能性があります。

特にサードパーティサービスと接続する場合は、上記メリット・デメリットを踏まえて、データの可視化に取り組む必要があります。

本コラムでは、Partner Connectorsである『CData Connect Cloud』 を利用し、Marketoデータの可視化を行います。

参考）CData Connect Cloud | データコネクタ
https://www.cdata.com/jp/cloud/connectors/

『CData Connect Cloud』は、CData Software Japan が提供している有償のデータコネクタサービスです。様々なデータソースに対応しており、Marketoだけでなく、Salesfroce や Microsoft Dynamics 365などのサードバーティサービスへ、Looker Studioから接続することが可能です。
本コラムでは、30日間の無料トライアルを利用して、Marketoのメールに関するアクティビティを参照し、ダッシュボードの作成を行います。

1．コネクタを選択して承認を進める
まず初めに、空のレポートを作成し、対象のコネクタの選択を行います。
コネクタの検索ボックスに「CData」と入力することで、Partner Connectorsに2つのコネクタが表示されます。
今回は右の『CData Connect Cloud』を選択します。

コネクタ選択後に表示される認証ボタンをクリックすることで、OAuth認証が表示されるため、認証を進めます。

2．トライアル利用に必要な情報を入力する
承認すると 『CData Connect Cloud』画面に遷移します。
必要情報を入力し、「Create Account」を押下します。

3．CData Connect Cloudの接続先を選択
Looker Studio画面に戻り、Import Formの選択肢で「Connections」を選択し、「次へ」を押下します。

Connectionの一覧から Marketing > Marketoの順番で選択します。

Connectionの設定画面が開きますので、Marketo接続に必要な以下情報の入力を行います。
REST APIを利用するためにはAPI接続情報を入力する必要があります。
・OAuth Client Id
・OAuth Client Secret
・REST Endpoint
詳細は下記URLをご確認ください。
https://experienceleague.adobe.com/ja/docs/marketo/using/product-docs/administration/additional-integrations/create-a-custom-service-for-use-with-rest-api

Select Client では、「Looker Studio」を選択します。

4．Looker Studio の接続先を選択
Looker Studioの画面に戻り、Connection で「Marketo」を選択します。

5．参照テーブルを選択する
Marketoのテーブル/ビューを選択できますので、参照したいテーブルを選択します。

以上の手順でLooker Studio でのデータソースの設定が完了します。
後の手順は通常のLooker Studioでダッシュボードを構築する手順と同じです。
コンポーネントを選択し、データの設定を行います。

実際にメールに関するActivityを選択し、下記のようなメールパフォーマンスに関するダッシュボードを作成します。

送信や開封などのメールパフォーマンスは、それぞれ別のActivityTypeがふられています。
『CData Connect Cloud』ではActivityTypeごとにビューを選択する必要があります。
Looker Studioデータソースの追加から、以下ビューを選択して、新しいデータソースを作成します。

・Activities_SendEmail：メール送信配信のアクティビティ
・Activities_EmailDelivered：メール配信のアクティビティ
・Activities_OpenEmail：メール開封のアクティビティ
・Activities_ClickEmail：メールクリックのアクティビティ

それぞれのメールに関するパフォーマンスが独立したデータソースに存在する為、Looker Studioの【データの統合】機能を利用して、データソース同士の統合を行います。
なお、対象データソースの容量が多い場合、統合の際にエラーが発生する可能性があります。
適宜、【データの抽出】機能を利用して、Looker Studio に一定期間のデータを保存し、統合を行うようにしてください。
詳細は下記コラムをご確認ください。
https://www.powerweb.co.jp/knowledge/columnlist/ls-data-pfup/



各データソースにある、以下フィールドを利用して、統合を行います。
※Linkは、Activities_ClickEmail のみに存在します
・MailingID：メールアセットのID
・MailingIDValue：メールアセット名
・ActivityDate：各アクティビティの発生日時
・Lead_ID：各アクティビティの対象となったID（リードID）
・Link：メール内リンクのURL

今回はActivities_SendEmailを基準として、残り3つのデータソースを統合します。
統合キーはMailingIDもしくはMailingIDValueと、それぞれのデータソースでActivities_SendEmailに統合します。

下記は【データの統合】機能を利用し、各データソースおよびフィールドの選択例です。

統合キーを選定する際は、テーブル1に対して、各データソースを結合するように設定します。

Looker Studioのコネクタを使いこなすことにより、自社のニーズに合わせてデータ接続と可視化を実現することができます。しかしながら、Partner Connectorsの多くは有償であり、利用料が発生したり、DWHを利用するプロセスよりパフォーマンスが落ちるデメリットもあります。
自社のニーズや予算感、サードパーティサービスの制限などを考慮して、最適な環境で可視化を実現してください。

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