パーパスブランディングとは何か?基礎知識とやってはいけない3つのこと

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最近のバズワードである「パーパス」。

パーパスブランディング・パーパス経営などの言葉を見かける機会が増え、
「自社でも取り入れたい」
と検討中の方もいらっしゃるかもしれません。

一方、「パーパスってわかったようで、わからない」の声も、よく聞きます。日本語でよく使われる“存在意義”の訳だけでは、ニュアンスを表現し切れていないことが一因です。

本記事では、パーパスの基礎知識を解説したうえで、パーパスブランディングの重要性、陥りがちな注意点をご紹介します。

そもそも「パーパス」とは?

まず「そもそもパーパスとは何か?」を見ていきましょう。

パーパス(Purpose) = 存在意義/WHY/志(こころざし)

パーパス(Purpose)の直訳は「目的、目標、意図」です。日常生活でも使われる言葉ですが、近年では経営やマーケティングの重要概念を表すキーワードとして注目されています。

経営やマーケティングで使われる場合、「目的、目標、意図」とは異なるニュアンスを持ちます。冒頭でも触れたとおり、よく使われる日本語訳は「パーパス = 存在意義」です。

問い「自分たちの企業(ブランド)は、何のために存在するのか?」の答えであり、根源的な存在意義がパーパスとなります。

パーパス(Purpose)は直訳すると目的、目標、意図だが、存在意義(理念と大義)や志(こころざし)を意味します

2010年代にベストセラーとなった『WHYから始めよ!インスパイア型リーダーはここが違う』を読まれた方なら、「パーパス = WHY(理念と大義)」と捉えるとイメージしやすいかもしれません。

あるいは経営学者の名和高司氏は、パーパスを「他者にとって価値のあることをしたいという信念、すなわち志」と置き換えています。

今、世界中で、「パーパス経営」が注目されている。持続可能性(サステナビリティ)が地球規模での課題となる中、企業にも改めて「パーパス」が問われている。パーパスは「存在意義」と訳されることが多い。しかし、それはいかにも理屈っぽすぎて、よそよそしい。筆者はあえて、「志」と読み替えている。心の内側から湧き出てくる強い思いであってほしいと願うからだ。

また、ESG(環境、社会、統治)、そしてSDGSの次はパーパスだ、といったうわついた風潮にも便乗したくない。一過性のバズワードではなく、時代を超えた企業経営の軸に据える必要があるからだ。しかも、外来語として取り込むのではなく、古来、日本人が大切にしてきた価値観として誇りを持って再認識する必要があるからだ。

そこで筆者は、英語の「パーパス」と同じ意味で「志」というヤマト言葉を使うことにしている。

*1

ポイントとなるのは、利己的ではなく他者(社会)を見据えた存在意義である点です。

ドラッカーが称賛した渋沢栄一のパーパス

よりニュアンスをつかみやすくするために、ひとつ例をご紹介します。

日本資本主義の父・渋沢栄一は、ピーター・ドラッカーも高く評価した実業家として、世界的にも知られる存在です。

渋沢栄一を主人公とした2021年の大河ドラマ『青天を衝け』最終回で、孫の敬三が以下のように語るシーンがありました。

祖父には、この程度で満足とか、ここまでやれば十分だなどと力を惜しむことが、少しもなかったように思います。常にもっと国をよくしたいと、もっと人を守りたいと、そればかりを考えて生きていたように思います。 「常にもっと国をよくしたいと、もっと人を守りたいと、そればかりを考えて生きていた」

——これがまさに渋沢栄一のパーパスであった、といえるのではないでしょうか。

パーパスブランディングに取り組むべき理由

「パーパス」をブランド戦略の中心に据え、あらゆるブランド活動をパーパスに基づいて展開していく手法。それがパーパスブランディングです。

企業、ブランド、もしくは個人であっても、あらゆるブランディングの鍵を握るのが「パーパス」といっても過言ではありません。なぜでしょうか。

パーパスのないブランドは生き残れない

「会社やブランドには志が大切という、道徳的な話?」
と感じた方もいるかもしれません。

確かに、そのような論調で語られることもあります。ですが、いま米国企業からブームとなっている「パーパス」には、ビジネスライクでシビアな一面もあることは、押さえたいポイントです。

なぜなら、 “ パーパスのないブランドが生き残れるほど、市場環境は甘くない状況に陥っている ” から、多くの企業がパーパスブランディングに舵を切っている背景があるのです。

コモディティ時代 × VUCA時代の軸となる「パーパス」

ここ数十年のマーケティングシーンで良い手法とされてきたのは、「差別化」「付加価値」「顧客中心主義」などでした。

しかしながら、コモディティ化(類似品による商品の一般化・汎用品化)が早い現代では、差別化や付加価値を施した商品を投入しても、賞味期限が短くなっています。

企業はコモディティ化で利益率が落ちるたびに製品・サービスの刷新を余儀なくされ、体力勝負となっているのが現状です。

加えて、VUCA *2(不安定で予測不可能)の時代でもあります。顧客を戦略の中心に据えても、顧客がどんどん変化してしまう現実と向き合わなければなりません

差別化しても顧客中心で展開しても、苦しい戦いが続いている。そこで次なる手法として、「パーパス」基点のブランディングが注目されているわけです。

パーパスブランディングでやってはいけない3つのこと

これからパーパスブランディングに取り組みたい方へ、 “ やってはいけない3つのこと ” をお伝えしたいと思います。

(1)ターゲット顧客を狙ってパーパスを決める

1つめは「ターゲット顧客を狙ってパーパスを決める」ことです。

パーパスは、顧客を振り向かせるためのキャッチコピーではありません。

「こういうパーパスを掲げたら、自社のターゲット顧客の心に刺さり、商品を買ってくれるだろう」

厳しい言い方をすれば、そんな低いレベルでは通用しないほど、社会は成熟したということです。

私たち自身が顧客として企業と接するときを思い返せばわかるように、顧客は理知的で勘がよく、真実を見抜く目を持っています。

(2)ただ掲げるだけ(戦略の中心に据えない)

2つめは「ただ掲げるだけ(戦略の中心に据えない)」です。

パーパスブランディングで重要なことは、 “ 活動すべてがパーパスと整合性の取れた状態 ” を維持し続けることです。

ここでいう活動とは、商品・サービスはもちろん、広告宣伝のクリエイティブ、顧客とのコミュニケーション、従業員の働き方や社会活動、顧客以外のステークホルダーとの関係性などを含みます。

口先だけの実質を伴わないお題目ではなく、実質を伴わせてこそのパーパスブランディングです。

(3)適材適所の采配をする

3つめは「適材適所の采配をする」です。

ここでいう「適材」は、人材に限らず、既存商品や技術、取引先なども含むと考えてください。

なぜ適材適所がだめなのか。キレイごとだけではない、厳しさもあるシリコンバレーのパーパス観ともいえます。

パーパスを基点として「適所適材」(適所と適材が逆)であるべきなのです。ときに冷酷な判断を強いられることもあります。

いまある材を最大活用して価値を生み出す発想から抜けだし、パーパスのために必要な材を獲得する(それ以外はカットする)。

パーパスに集中したシンプルな構造を作ることが、パーパスブランディングで最初にすべきことといえます。

さいごに

本記事では、パーパスブランディングについて筆者なりの解釈を加えつつ解説しました。

最後にひとつ、日本企業の在り方として付け加えるなら、「三方よし*3」の精神を持ちたいものです。

「売り手」には、企業や経営者だけでなく「従業員」を含んで考えることが、現代におけるポイントかもしれません。どんなに立派なパーパスを掲げても、従業員が幸せでなければ持続できないからです。

三方よしの精神で志を持ち、パーパスブランディングに取り組む企業が増えたなら、社会全体がよくなっていくに違いありません。

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この記事を書いた人

三島つむぎ

ベンチャー企業でマーケティングや組織づくりに従事。商品開発やブランド立ち上げなどの経験を活かしてライターとしても活動中。

*1:名和 高司『パーパス経営30年先の視点から現在を捉える 』(Japanese Edition) (p.3). Kindle 版.

*2:VUCA…Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)

*3:売り手によし、買い手によし、世間によし