日本人気質には特に重要 グーグルの考える「心理的安全性」とは?

グーグルが提唱した「心理的安全性」という言葉は、以前からビジネスシーンで徐々に浸透しています。
グーグルが「効果的なチームとはどのようなものか」を調査した結果、良いチームに見られた特徴の中でも最も重要だったのが、この「心理的安全性」です。

「心理的安全性」の必要性は日本企業にも当てはまりそうです。
ただ、グーグルはアメリカの企業であり、その前提となる人間の気質は、日本とは少し異なります。

組織によりよい人間関係をもたらすために、日本人の特徴と「心理的安全性」の関係について知りましょう。

グーグルの提唱する「心理的安全性」とは

グーグルは、「プロジェクト・アリストテレス」という社内の複数のチーム(3~50名)について調査を実施しました。チームの「効果」をはかる基準として、

  • マネージャーによるチームの評価
  • チームリーダーによるチームの評価
  • チームメンバーによるチームの評価
  • 四半期ごとの売上ノルマに対する成績

を設けています。

確かにこれらの要素は、円滑なチームには必要な要素でしょう。

そしてこの4要素から見たときに「効果的なチーム」には共通点があったとしています。その中でももっとも重要なのが「心理的安全性」だというのです。

このようなものです。

心理的安全性とは、対人関係においてリスクある行動を取ったときの結果に対する個人の認知の仕方、つまり、「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうかを意味します。心理的安全性の高いチームのメンバーは、他のメンバーに対してリスクを取ることに不安を感じていません。自分の過ちを認めたり、質問をしたり、新しいアイデアを披露したりしても、誰も自分を馬鹿にしたり罰したりしないと信じられる余地があります。

<引用:「『効果的なチームとは何か』を知る」グーグル(下線は筆者加筆)>

一方で、日本企業、あるいは日本人の気質とはどのようなものでしょうか。

「上の人の考えに反することはなんとなく言いづらい」「空気を読めないと思われたくない」…そのような風潮はないでしょうか?

グーグルの説明を見れば、こうした風潮がないのが、「心理的安全性の高い組織」と言えるでしょう。

「人間関係の難しさ」相手は「先輩」が最多

さて、日本企業での「ものを言いにくい」風潮は、調査結果にも表れています。

エン・ジャパンが1万人を対象に実施した調査によると、職場で人間関係に難しさを感じたことが「ある」と答えた人が84%にのぼっています(図1)。

図1:職場で人間関係に難しさを感じた人の割合

<出所:「1万人に聞く『職場の人間関係』意識調査」エン・ジャパン>

そして、その相手は「先輩」が最も多くなっています(図2)。

図2:人間関係に難しさを感じる相手

<出所:「1万人に聞く『職場の人間関係』意識調査」エン・ジャパン>

では、理由を見てみましょう(図3)。

図3:同僚・上司・先輩・経営層との人間関係が難しい理由

<出所:「1万人に聞く『職場の人間関係』意識調査」エン・ジャパン>

威圧的、気分に浮き沈み、一貫性がない…

話しかけることにすら遠慮が必要そうな上司や先輩がコミュニケーションの悪化に繋がっていることがわかります。
心理的安全性のなさが、人間関係を難しいと感じさせているのです。

日本人独特の「場の倫理」

上記はリーダーが改めなければならないのは当然のことですが、特に日本人の組織で心理的安全性が必要な理由があります。

有名な心理学者である河合隼雄氏は、日本人社会にある独特の雰囲気を下のような事例で指摘しています。

たとえば交通事故の場合を例として考えてみたい。ここで、加害者が自分の非を認め、見舞に行くと、二人の間に「場」が形成され、被害者としてはその場の平衡状態をあまりにも危うくするような保証金など要求できなくなる。
(中略)
 加害者が言い逃れをしたりすると、これは被害者と同一の「場」にいないものと判断し、徹底的に責任の追求ができることになっている。つまり、わが国においては、場に属するか否かが全てについて決定的な要因となるのである。場の中に「入れてもらっている」かぎり、善悪の判断を超えてまで救済の手が差し伸べられるのだが、場の外にいるものは「赤の他人」であり、それに対しては何をしても構わないのである。

<引用:河合隼雄「母性社会日本の病理」講談社+α文庫 p25-26>

交通事故でなくても、似たようなシチュエーションに遭遇したことはないでしょうか。

例えば話し合いの場で、なんとなく「空気」が形成されてしまったがために言いたいことを引っ込めて終わってしまう。会議を開いても、議論や戦いのないまま「空気感」で良しとしてしまう。

アメリカではどうでしょうか。
訴訟社会と言われるアメリカです。上記のような交通事故があった場合、話がまとまらなければ被害者はすぐに訴えを起こすことでしょう。
「場」に流されてお金の要求をしにくくなる、ということは少ないのではないでしょうか。

しかも、日本では「場」によっては、「ここまで譲歩しているのに」と加害者が被害者を責めるという事すら起こりえます。

そのような上司はいないでしょうか?
あるいは、自分がそのようになってしまってはいないでしょうか?

これを河合隼雄氏は「場の倫理」「個の倫理」と呼んでいます。
その上で、日本社会では「個の倫理」より「場の倫理」が優先されがちだとしています。

チームのメンバーが「場」を大切にするために譲歩し合うのは、外から見た分には和やかであっても、新しいアイデアが生まれない、上司の独善的な組織になってしまうのです。
また、メンバーも結局は内面に様々なモヤモヤを抱えたまま過ごしているため、ストレスを溜めてしまうだけです。

心理的安全性を高める方法

では、どのようにすれば心理的安全性の高い、風通しの良い組織になるのでしょうか。

グーグルは心理的安全性を高める方法として、以下の3つを紹介しています*1

  • 仕事を実行の機会ではなく学習の機会と捉える。
  • 自分が間違うということを認める。
  • 好奇心を形にし、積極的に質問する。

そして、これに加えて、あまりにも和やかすぎる組織についても注視する必要があるのです。

最後に、エン・ジャパンのアンケートからもう一つの質問の結果をご紹介します。
「人間関係が転職のきっかけになったことがあるか」という質問に対する回答は以下のようになっています(図4)。

図4:人間関係が転職のきっかけになったことはあるか

<出所:「1万人に聞く『職場の人間関係』意識調査」エン・ジャパン>

人間関係の難しさは、優秀な社員の離職にも繋がりかねません。
真に「居心地の良い組織」は、「場の倫理」を優先することばかりではないのです。

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この記事を書いた人

清水沙矢香

2002年京都大学理学部卒業後、TBSに主に報道記者として勤務。社会部記者として事件・事故、テクノロジー、経済部記者として各種市場・産業など幅広く取材、その後フリー。取材経験や各種統計の分析を元に関連メディアに寄稿。