コラム

デジタルトランスフォーメーション(DX)を学ぶ第一歩は顧客理解から~DX社内勉強会第1回レポート~

マーケティングデータアナリスト 高月 大輔【文責】

最近、デジタルトランスフォーメーション(以下、DXと略)という言葉をよく耳にする。一言で言うと「企業がデジタル技術を通じて業務やビジネスを変革すること」を指すものである。弊社のクライアントでもDXに取り組もうとしている企業が多く、お客様との会話の中にも「DX」という単語が登場する機会が増えてきた。しかし「DX」が示す領域は広く、私たちコンサルタントの中でも捉え方や理解が異なっていた。そこで弊社代表の岡本を講師にDX社内勉強会を開催し、あらためてコンサルタント全員でDXについて考える場を設けることになった。今回はこのDX社内勉強会、第1回目の参加レポートを紹介する。

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DX社内勉強会開催のねらい

DX社内勉強会のねらいは2つある。

リアル含めて企業のマーケティングを捉えるチカラを付けること
データをビジネス価値に変えるチカラを付けること
「1」は、弊社のコンサルティング領域が最近はデジタルマーケティングが中心になっていたことに対して、あらためて「リアル」を含めたマーケティングのスキルを身につけるというもの。「2」は、アクセスログやマーケティングオートメーション(以下MAと略)といった弊社が得意とする分野以外のデータ、例えば顧客データ、売上データ、財務データなどのデータを読み解くスキルを身につけるというものである。

全5回のDX社内勉強会を通じてDXへの理解を深めるとともに、これらのスキル獲得を目指していく。

まずは主要なフレームワークを身につける

第1回目は「クライアントの事業を俯瞰して見るためのビジネス戦略フレームを身につける」がテーマである。自分が担当するクライアントの戦略フレームを作成するプロセスを通じて、クライアントの事業戦略に私たちがどう寄与できるかを考えていく。

岡本からは「ビジネスモデルキャンバス」と3つの概念が紹介された。ビジネスモデルキャンバスとは、ビジネスモデルを可視化するために使われるフレームワークで、9つの要素から成り立っている。1枚に図示することで俯瞰でき、それぞれの要素が相互にどのように関わっているかも見える化することができる。

今回は加えて次の3つの概念も紹介された。

1.ブルーオーシャン
2.バリュー・プロポジション
3.オペレーショナル・エクセレンス

それぞれ簡単に触れると、
「1」のブルーオーシャンとは「競争がなく、顧客と良い関係が築け、価値提供が行われている」状態のこと。

「2」のバリュー・プロポジションとは「自社が提供でき、顧客が望んでいるもの、他社が提供できないもの」を指している。

「3」のオペレーショナル・エクセレンスとは、企業が長年にわたり試行錯誤を繰り返し、汗と涙で積み上げてきた他社の追随を許さない品質・コスト・スピードを実現していることをいう。

それぞれの言葉は単体では知っていたが、それぞれの関係性は考えたことがなかった。岡本の解説を聞くと、ビジネスモデルキャンバスを通じて繋がっていることが見えてきた。

より深く事業を理解するために

岡本は、事業とは「新しい価値を生み、顧客を創造すること」と言う。この「新しい価値」をもってブルーオーシャンが創り出せるのだ。そして新しい価値を考える切り口がバリュー・プロポジションといえる。自社だけが提供できる、顧客が望むもの。これがビジネスモデルキャンバスの中心の「価値提案」の箱を埋めるものになる。

また、新しい価値を生むにはそのための源泉(リソース)が必要となる。ここを担うのがオペレーショナル・エクセレンスである。業務オペレーションが磨き上げられ、競争上の優位性にまでなっていることが価値創造にも繋がっていく。ビジネスモデルキャンバスの「リソース」や「主要活動」の部分に該当する。

このように、ビジネスモデルキャンバスに加えて3つの概念(ブルーオーシャン、バリュー・プロポジション、オペレーショナル・エクセレンス)にも目を向けることで、より深く立体的に事業を捉えることに繋がっていく。

今回はフレームワークの紹介までとし、次回までにコマツとブリヂストンおよび担当クライアント1社のビジネスモデルキャンバスを各自で作成する宿題が出され、第1回目の講義は終了した。

第1回目の講義に参加して

今回紹介されたフレームワークは自分の中でそれぞれ単体のものとして捉えていたのだが、関係性があるものとして解説を受けて頭の中が大きく整理された。これまでは自分の担当クライアントのビジネスモデルキャンバスを考えてみても手が止まってしまうことが多かったのだが、今日の解説を受けると、これまでとは少し違った視点でお客様の事業を捉えられるようになったと思う。コンサルティングの現場ではお客様の事業を理解することが第一歩となるが、そのための大切な視点を得ることができた講義だった。

DX提案の前にクライアントを取り巻く外部環境を把握する~DX社内勉強会第2回レポート~

高月 大輔

オペレーションPro.グループマネジャー

高月 大輔

マーケティングオートメーション活用支援

Webディレクターとして大手・中堅企業を中心に多数のWebサイト構築を手がける。その後、マーケティングデータアナリストへ転向。 Googleアナリティクスでのアクセスログ分析やBIツールを使ったダッシュボード構築に従事。現在はMarketoの活用支援コンサルティングにも領域を広げ、自社のMA運用代行チームのリーダーとして活動している。
またAdobe社のMarketoトレーニング講師も担当し、分かりやすい解説が好評を得ている。

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