コラム

外から見た、パワーインタラクティブの強みと組織課題 ~「学習する組織」の一歩先へ~

2023年4月7日から2日間、半期に一度の全社員研修「All Meeting」で、岡本氏に人材育成研修を実施してもらいました。1日目のテーマは「大きな組織の不思議な意思決定」。2日目のテーマは「経験学習サイクル」。

岡本光敬氏が2023年1月に立ち上げた株式会社アンド・リスペクト(以下、アンド・リスペクト)は、法人向けに人事コンサルティングサービスを提供しています。岡本光敬氏はメーカーの人事担当者としてキャリアをスタートさせ、これまで日本国内だけでなく海外も含め多様な人と組織に関わってきました。

2日間の研修講師を務めた岡本氏には、弊社はどのような会社に映ったのか。「講師の目から見たパワー・インタラクティブの組織風土」をテーマに、岡本氏へインタビューを実施しました。

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株式会社アンド・リスペクトの概要

御社の事業概要について教えてください。

アンド・リスペクトは2023年1月に立ち上げた、人事コンサルティングサービスを提供している会社です。「人事制度はあるけれどうまく活用できていない」「人事制度が事業戦略・経営戦略と紐づいていない」といった課題を抱えている企業に向けて、人事戦略や制度運用の提案をしています。

元々前職でも人事をやっていて、人や組織が持つ潜在能力は無限にあると感じていました。「ヒト」「モノ」「カネ」という3つの経営資産がありますが、なかでも「ヒト」は投資に対する弾力性があります。嫌なことがあってモチベーションが下がればパフォーマンスが低下する一方、前向きに働けていれば期待以上のパフォーマンスを発揮します。

多くの人や組織と接するなかで「もっと多くの人や組織に貢献したい」と考えるようになり、アンド・リスペクトを設立しました。

顧客をより理解するために研修を実施

どのようなきっかけでパワー・インタラクティブに研修を実施することになりましたか?

元々知り合いであった御社取締役の遠藤さんにアンド・リスペクトの設立をお伝えしたとき、研修のご依頼をいただきました。

御社はここ数年で大企業との取引が増えており、「大企業の意思決定を理解しきれない」という相談を社員から受けていたようです。担当者は前のめりだったのに、社内の稟議を経て否決になることが続いたと聞きました。大きな組織を経験したことがないメンバーが多いなかでも、大企業のお客様とより良いコミュニケーションができるようにしたいと考えていたようです。

また、昨年人事制度を刷新し、組織として人を育てる仕組みづくりに取り組んでいるとも伺いました。人を育てるといっても、方法はいくつかあります。学習プログラムをつくり、それに沿って育成を進めるのも一つの手法です。しかし、学習プログラムに沿って育成を進めるよりも、経験を活用して主体的に成長してもらう方が御社の実態に合うと考えました。

そこで、「大きな組織の不思議な意思決定」「経験学習サイクル」という2つのテーマで研修を実施しました。

写真1:大きな組織の不思議な意思決定 講義シーン

「大きな組織の不思議な意思決定」では、大企業が外部に発注するときの流れをワークショップ形式でお伝えしました。申請する予算に応じて稟議フローが変化する、大企業特有の意思決定の流れについて議論していただきました。

「経験学習サイクル」では、直近で印象的だった経験をもとに教訓を導き出すまでの流れをワークショップ形式でお伝えしました。定期的に経験を振り返る習慣を身に付けると、効率的に学びを得られるようになります。

コンサルティング会社ならではの学習能力の高さを感じた

パワー・インタラクティブに対してどのような印象を持ちましたか?

学習能力が非常に高い組織だと感じました。何か1つ伝えたとき、伝えたことの背景には何があるか、なぜそれを話したのかを聞いてもらえたので非常にやりやすかったです。私から伝えきれなかったことを皆さんに補っていただいているような感覚でした。

写真2:グループワークでの疑問点を質問する様子

経験学習サイクルの研修で使用したStar Fish(図表1参照)のフレームワークについて説明したとき「辞めたいことと減らしたいこととの違いについて、もう少し詳しく知りたい」と質問してもらえたのを覚えています。コンサルティングというコミュニケーション力が求められるサービスを提供するなかで、発言の意図を汲み取る力が磨かれているのだと思います。

図表1:経験学習サイクルの研修で使用したフレームワーク「Star Fish」

Star Fishとは、ある経験を取り上げて「Keep(続けるもの)」「Less of(減らすもの)」「Stop(やめるもの)」「More of(増やすもの)」「Start(はじめるもの)」を洗い出すフレームワークです。5つの項目を星形に配置して書き込むことから、Star Fishと呼ばれています。

また、全社員が思ったことを自由に発言できる空気があり、非常に良いと感じました。誰かが上手く説明できない場面があったときにも、周囲のメンバーがフォローしたり、場を和ませる発言をしながら時間を作ってあげるなどして、発言者に余裕を持たせるような工夫が自然とできています。今重要視されている「心理的安全性」が担保されていることの表れではないでしょうか。

今後は「組織化された組織」としての側面を磨く

パワー・インタラクティブは今後どうすればより良い組織になると思いますか?

組織には「共同体化された組織」と「組織化された組織」の2つがあります。(図表2参照)

図表2:「共同体化された組織」と「組織化された組織」

共同体化された組織とは、仲が良くて何でも話し合えるような組織のことを指します。同じ釜の飯を食って育むような一体感を持っているのが特徴です。明文化されたものがなくても同じような経験を共有しているので、暗黙知によって物事を進めていくことができます。

一方の組織化された組織とは、契約関係によって成り立っている組織のことを指します。組織化された組織では会社のルールや業務フローが明文化されています。共同体化された組織と比べるとコミュニケーションコストがかかるものの、新しく入った人が馴染みやすい、早期戦力化しやすいといった利点があります。

御社は社員間の意思疎通ができており、心理的安全性の高い共同体化された組織にあたると思います。「大きな組織の不思議な意思決定」研修のなかで、大企業がどのような流れで意思決定をしているのか、役職や立場を問わず全員が実体験を持ち寄って議論している姿が印象的でした。
御社が今後より良い組織になるためには、共同体としての良さを保ちつつ、組織化された組織としての側面も磨いていくのが良いでしょう。共同体化された組織はコミュニケーションコストが低かったり、心理的安全性が高かったりといった良い側面も多くあります。しかし一方で、新しく人が入ったときに業務を習得しにくいという悩ましい側面もあります。

また、共同体化された組織がさらに深まると「同質化された組織」になってしまいます。同質化された組織とは、全員の考えが似通ったものになっている組織のことです。一見仕事を進めやすく感じるかもしれませんが、実は危険な状態だと見ています。(図表3参照)

図表3:同質化された組織

例えば、お客様が何か間違ったことをしているとき、社内から色んな意見が出て良いはずです。「間違っていることは間違っていると指摘すべきだ」「一旦静観しよう」など、異なる意見が出ることで議論が深まり、より良い答えを導き出せます。一方、同質化してしまうと似通った意見しか出ず、それ以外の意見は「間違っている」「そのような考え方はおかしい」となってしまいます。このような状態にならないよう、組織のあり方はバランスが重要です。

組織化された組織は明文化されたものに乗っ取って運営されています。欧米企業をイメージするとわかりやすいでしょう。組織化された組織はコミュニケーションコストがかかるものの、新しく人が入ったときにオンボーディングしやすいといった良い側面があります。

今後御社が事業を拡大し、人数も増えていくことを見越すのであれば、組織化された組織としての側面を磨いていくのが良いでしょう。

【インタビュー後記】

今回研修講師を務めた岡本光敬氏は、パワー・インタラクティブ代表取締役 岡本充智の長男にあたります。父の会社に向けての研修はやりづらい面も大きかったのではと思いますが、時折ジョークも交えながら楽しそうに講義する姿が印象的でした。

岡本光敬氏はAll Meeingで最も印象に残ったシーンとして、表彰の場面を挙げていました。

パワー・インタラクティブでは「コンテンツを最も多く作成した人」「資格を最も多く取得した人」「セミナーに最も多く登壇した人」「半期で会社に最も貢献した人」を表彰する制度があります。表彰された人を全員で労う組織風土は稀有なもの。ここにパワー・インタラクティブの良さが詰まっていると話していました。

深く考えたことはなかったですが、私は2年前パワー・インタラクティブに入社してから、とても楽しく働いています。表彰という形で自分も主役になれる場があることが、知らぬ間にモチベーションを高めてくれているのかもしれません。

インタビュー実施日:2023年4月10日
マーケティング推進室 岩野 航平

岩野 航平

コンテンツ編集長

岩野 航平

コンテンツ戦略策定

新卒で株式会社ネオキャリアに入社し、新規オウンドメディアの立ち上げに従事。ネオキャリアを退職し、数カ月間飲食店で働いた後、パワー・インタラクティブに入社。マーケティング、インサイドセールスを担当したのち、コンテンツ編集長に就任。パワー・インタラクティブで発信するコンテンツ全般の企画やコンテンツ計画策定などをおこなう。

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