コラム

GA4と広告データの統合と活用案

ユーザーの行動や広告キャンペーンの効果を正確に把握しパフォーマンスを最大化するためには、データに基づいた意思決定が求められます。特に、複数のデータソースを統合することは、包括的なインサイトを得るために不可欠です。
Googleアナリティクス(以下、GA4)は、ユーザーの行動を詳細にトラッキングする強力なツールです。Google広告などでデジタル広告を出稿している場合、GA4データを広告データと統合することで、広告キャンペーンのパフォーマンスを向上させ、より最適化できる可能性があります。本記事では、GA4と広告データの統合方法と、その活用法について詳しく解説していきます。

データを活用したマーケティングの重要性

1. 1 GA4と広告データ統合の必要性

GA4に広告データを統合することで、ユーザーの広告流入からコンバージョンまでの行動をより包括的に把握することができます。このデータを活用することで、マーケティングキャンペーンの効果を最大化し、ターゲティングの精度をさらに高めることが可能です。

一方で、GA4と広告データを統合しないと、せっかくのデータを十分に活用できません。

また、GA4と広告データを別々に管理する手間が増え、ターゲティングの精度や、ROIを向上させるための効果的なインサイトを得るのが難しくなります。

統合による利点:

精度の高いターゲティング: 広告データとユーザー行動データを統合することで、個々のユーザーの行動パターンを詳細に把握でき、広告キャンペーンのターゲティング精度が向上します。これにより、適切なタイミングで適切な広告を表示できるため、コンバージョン率が上がります。

一元管理による効率化: データを一元的に管理することで、データの重複や整合性の問題が減り、データ分析の効率が向上します。これにより、マーケティングチームはより迅速に意思決定を行い、キャンペーンの調整が可能になります。

ROIの向上: 広告データとGA4の統合により、より正確なパフォーマンス分析が可能になり、広告費の最適化が図ることができます。これにより、無駄な広告費を削減し、投資対効果を最大化できます。

GA4と広告プラットフォームの連携

GA4と広告プラットフォームの連携の必要性については上記に記載しましたが、連携はいったいどのようにすればいいのでしょうか。ここでは GA4と広告データの統合について説明します。

2.1 GA4の機能を活用したGoogle広告の連携方法

Google広告とGA4のデータの連携はそこまで難しくはありません。連携したデータはオーディエンスの作成などに活用することができるので、どちらのツールも活用しているのであれば早い段階での連携をお勧めします。

連携手順:
1.アカウントの準備:GA4とGoogle広告のアカウントを用意します。両方のアカウントに管理者権限があることを確認してください。

2.GA4からの連携:GA4の管理画面から「管理」→「データストリーム」→該当のデータストリームを選択→「Google広告 リンク」を選び、「リンクの設定」をクリックします。リンクの完了: 表示される指示に従って、連携したいGoogle広告アカウントを選択し、設定を確認して保存します。

2.2 GA4の設定では連携できない他広告プラットフォームとの連携(ETLを使ったGoogle BigQuery内でのデータ統合)

ETLは、データの抽出(Extract)、変換(Transform)、およびロード(Load)の頭文字を取ったもので、データの統合プロセスを指します。このプロセスを通じて、異なるソースからデータを収集し、必要な形式に変換して、目的のデータベースやデータウェアハウスにロードします。ETL(Extract, Transform, Load)ツールを活用することで、各広告プラットフォームのデータをGoogle BigQueryに統合することができます。

ETLツールを活用することで、連携機能がないデータをGoogle BigQueryなどのデータウェアハウスにロードし、様座なデータを一元管理できるようにすることができます。またデータの簡素化や迅速なデータ処理により、多くのデータを効率的に扱うことができます。

以下がETLの流れです。

ETLの流れ:
1.Extract:各プラットフォームからAPIでデータ抽出
2.Transform:データのクレンジングと整形
3.Load:Google BigQueryへのデータロード 

今回のGA4と広告データの統合においても、ETLツールを使うことでGoogle BigQueryに様々なプラットフォームの広告データをアップロードすることでき、エクスポートしたGA4データとの広告データの統合をGoogle BigQuery内で行うことができます。統合することで広告キャンペーンに紐づいたサイト内の情報を正しく分析することが可能となり、より効率的な広告施策を打つことも可能になってきます。

下記がGoogle BigQuery内でのGA4と広告データを統合する際のクエリ例です。必要なテーブルを用意し、要件を満たした方法でデータを統合させましょう。例文のクエリではGA4とGoogle広告の値をフラットテーブルに変換したデータを統合したものになります。フラッとテーブルを作っていない場合はサブクエリなどを利用し、クエリを書きましょう。

-- BigQueryでのデータ統合クエリ例
SELECT
ga4.user_id,
ads.clicks,
ads.conversions
FROM
`project.dataset.ga4_table` AS ga4
JOIN
`project.dataset.ads_table` AS ads
ON
ga4.user_id = ads.user_id

統合データを使ったカスタムレポート作成

データを把握し活用する環境は、データが常態的に可視化されていることが大切です。ここでは統合したデータの可視化について説明できればと思います。

3.1 GA4でのカスタムレポートの作成

Google広告との連携データであれば、一部GA4内でも可視化ができます。具体的には、探索レポートを作成することで広告データを確認できるようになります。

GA4でのカスタムレポート作成手順:

1.「探索」から新しいレポートを作成
2.必要なディメンションとメトリクスを選択
3.フィルタやセグメントを適用
4.ビジュアライゼーションの設定

3.2 LookerStudioを活用したダッシュボード作成

効果的なダッシュボードは、データを視覚化し、迅速な意思決定を支援します。以下に、LookerStudioを使用したマーケティングダッシュボードの作成例をあげます。

ダッシュボード作成例:
1.マルチチャネル集客分析ダッシュボード
各広告プラットフォームからの流入を一目で比較できるレポートです。チャネル別のコンバージョン率やROIを可視化することで、チャネル別の広告効果の把握と予算配分を最適に行うことが可能となります。

指標例:
- チャネル別セッション数
- チャネル別コンバージョン数
- チャネル別ROI

2.ユーザー行動分析ダッシュボード
GA4のイベントデータと広告クリックデータを統合し分析することができます。広告チャネル別のかご落ち分析や、コンバージョンユーザーの行動パターンなどを数値から判断できるダッシュボードです。

分析ポイント:
- 広告クリックからサイト内行動、購買までの動線分析
- セグメント別の行動パターン比較

3.地域別パフォーマンスダッシュボード
統合データを活用することで都道府県別コンバージョン率と地域別平均注文額の数値をより明らかにすることができるダッシュボードです。地域ごとの市場動向を把握し、効果的なローカルマーケティングの実施が可能になります。

表示データ例:
- 都道府県別コンバージョン率
- 地域別平均注文額

後日事例ができたらレポート例を追加

実践のためのヒント:
チーム内で週次ダッシュボードレビューミーティングを設定
異常値検知のためのアラート設定を行う
定期的にダッシュボードの改善と更新を実施

統合データの活用案紹介

3で作成したダッシュボードを使うことでデータを把握し、そのデータに基づいたマーケティング施策を実行することが可能になります。

4.1 オーディエンス戦略の立案

GA4の行動データと広告プラットフォームのエンゲージメントデータを組み合わせ、高精度なオーディエンスを作成し活用することが重要です。例えば、過去30日以内にサイトを訪問し、特定の商品ページを閲覧したユーザーで、かつFacebook広告にエンゲージしたユーザーにリターゲティング広告を配信する戦略が考えられます。

4.2 アトリビューションモデルの最適化

データ活用が進む中、アトリビューション分析はますます重要となっています。マルチタッチアトリビューション分析により、ユーザーが複数のデバイスやプラットフォームにまたがって行動するパターンを分析できます。例えば、最初はデスクトップでGoogle検索広告をクリックし、商品を確認、スマートフォンでのFacebook広告エンゲージ、最終的にタブレットでの購入といったデバイスやプラットフォームを跨いだ複雑な購買経路を把握するのに役立ちます。GA4のデータドリブンアトリビューションモデルを活用することで、各タッチポイントの貢献度を算出し、広告プラットフォーム間での予算配分を最適化することができます。

4.3 パーソナライズされたクリエイティブ戦略

GA4の閲覧履歴データと広告プラットフォームのクリエイティブパフォーマンスデータを組み合わせ、個々のユーザーに最適な広告を配信します。例えば、特定の商品カテゴリに興味を示しているユーザーに、そのカテゴリの人気商品を動的に表示する広告を配信します。また、ユーザーの興味関心データを基に、ランディングページやメールコンテンツをパーソナライズし、商品レコメンデーションを最適化することも可能です。特にBtoB企業の場合、メルマガ最適化などの戦略に繋がります。

4.4 予測分析と先制的マーケティング

GA4の行動データと広告データを組み合わせ、機械学習モデルを使用して顧客生涯価値(CLV)を予測します。この予測に基づき、高CLV顧客セグメントへの優先的なマーケティングリソースの配分を行うことで、CLVを向上させることができます。また、サブスクリプションモデルでは、解約リスクの高い顧客を特定し、特別なオファーや解約防止施策を実施することで、顧客価値の向上を図ることが可能です。

以下は上記のようなデータ活用をするうえで最低限抑えておくべきチェックリストです。実施の際にご活用ください。

・データ活用のためのチェックリスト
・GA4と主要広告プラットフォームのデータ統合が完了しているか
・カスタムオーディエンスを定期的に更新・最適化しているか
・アトリビューションモデルの定期的な見直しを行っているか
・パーソナライゼーション戦略の効果測定と改善を継続的に実施しているか
・予測モデルの精度を定期的に検証し、必要に応じて調整しているか

統合されたGA4と広告データを活用することで、顧客の全体像を把握することが可能になります。データに基づく継続的な改善サイクルを確立し、マーケティングROIの最大化を目指しましょう。

最後に

弊社ではこのようなGA4、広告だけではないデータ全体を包括的に支援するサービスを行っています。GA4データはもちろんのこと、今回のテーマに挙げている広告データやSales Force Automationからの商談データをすべて統合した形での可視化、分析支援を行っています。是非お気軽に下記「お問い合わせ」からご相談ください。

安川 大

マーケティングデータアナリスト

安川 大

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