AIで変化するSEOをGoogle最新動向で解説!独自性がコンテンツのカギ
AI生成コンテンツ洪水の時代
佐野 陽子(文責)
生成AIの発達により、誰でも簡単に文章を生成できるようになり、Web上にはAIが生成したコンテンツが爆発的に増加しています。
この「コンテンツ洪水」に対し、Googleとユーザーがどのように反応するかが2024年以降の大きなテーマとなっています。質の低いAI記事が溢れれば検索結果の信頼性が損なわれかねないため、Googleは検索エンジンのアルゴリズム面で対策を強化しました。同時に、高品質コンテンツの基準も引き上げられています。
AI生成のコンテンツをGoogleがどう扱っているか
GoogleがAI生成コンテンツ自体を検索エンジンから検出・排除しているのかという点ですが、Google公式は「AI生成だからといって評価を下げることはない」と明言しています*1。Googleは、スパムポリシーに従って悪質なコンテンツを排除しているので、コンテンツがAI生成なのか、人間の制作なのか、それ自体は評価に関係ありません。
GoogleのAIを利用した検知システム「SpamBrain」は自動生成コンテンツも検出対象としており、ユーザーに価値を提供しない量産記事はアルゴリズムや手動対処で排除されています。検索エンジンの順位操作のためだけにAIを使って量産された記事はスパムと見なされます。
つまり、コンテンツ制作においての「AI活用そのもの」は問題視されませんが、「AI乱用」は厳しく取り締まられるわけです。
たとえば、以下のようなものはGoogleからスパムと判定され、排除される対象になります。
Googleのスパムポリシー*2(抜粋)
・クローキング: ユーザーと検索エンジンに異なるコンテンツを表示し、検索ランキングを操作したり、ユーザーを欺いたりする行為。
・キーワードの乱用: Google検索の結果でランキングを操作する目的で、ウェブページをキーワードや数字で埋め尽くす行為。
・リンクスパム: 検索ランキングを操作する主な目的で、サイトへのリンクまたはサイトからのリンクを作成する行為。
・大規模なコンテンツの悪用: 検索ランキングを操作する主な目的で、ユーザーに役立たない大量の独創性のないコンテンツを生成する行為。
・スクレイピング: 他のサイトからコンテンツを(多くの場合、自動化された手段で)取得し、検索ランキングを操作する目的でホストする行為。
Google検索品質評価ガイドラインでAI生成コンテンツに言及

2025年1月23日、Googleの検索品質評価ガイドラインの最新板が公表されました。ガイドライン上でははじめて、AI生成のコンテンツの評価について言及されています。
たとえば、4.6.6では以下のように述べられています*3。
4.6.6 MC Created with Little to No Effort, Little to No Originality, and Little to No Added Value for Website Visitors
The Lowest rating applies if all or almost all of the MC on the page (including text, images, audio, videos, etc) is copied, paraphrased, embedded, auto or AI generated, or reposted from other sources with little to no effort, little to no originality, and little to no added value for visitors to the website. Such pages should be rated Lowest, even if the page assigns credit for the content to another source.
4.6.6 Webサイトの訪問者に対して、努力やオリジナリティ、付加価値がほとんどないメインコンテンツの作成
ページ上のメインコンテンツ(テキスト、画像、音声、動画など)のすべて、またはほとんどが、他の情報源からコピー、パラフレーズ、埋め込み、自動またはAIによる生成、再投稿されたもので、ほとんど、または全く努力が見られず、オリジナリティもなく、Webサイト訪問者への付加価値がほとんど、または全くない場合は、最低評価となります。こうしたページは、たとえページ上で別の情報源への帰属を示していたとしても、最低評価とする必要があります。
(略)
All of the following are considered copied or paraphrased content:
以下の内容はいずれも「コピーまたはパラフレーズ(文意を損なわずに表現や言い回しを変更すること)されたコンテンツ」とみなされます:
(略)
・Content that is paraphrased from a single source or multiple sources. Content from a single page or from many websites can be summarized, reworded or paraphrased by people or generative AI tools. Paraphrasing may be valuable, for example when an expert paraphrases the contents of a government policy in easy-to-understand language.
単一または複数の情報源から表現を変更したコンテンツ。1つのページや複数のWebサイトにあるコンテンツは、人間や生成AIツールによって要約されたり、言い換えられたり、表現を変更されたりする可能性があります。表現の変更が有用となる例としては、専門家が政府の方針を、より分かりやすい言葉で言い換える場合などがあります。
(略)
Likewise, the use of Generative AI tools alone does not determine the level of effort or Page Quality rating. Generative AI tools may be used for high quality and low quality content creation. For example, a high level of effort may be involved in creating high quality original artwork using Generative AI tools. However, it's also possible to use Generative AI tools to create Lowest quality content with little to no effort, little to no originality, and little to no added value for website visitors.
同様に、生成AIツールの使用そのものが、制作に費やされた労力のレベルやページの品質評価を決定するわけではありません。生成AIツールは、高品質のコンテンツ作成にも、低品質のコンテンツ作成にも利用されます。たとえば、生成AIツールを使用して高品質のオリジナルアートワークを作成するには、高いレベルの労力がかかる場合があります。しかし、ウェブサイトの訪問者への付加価値やオリジナリティがほとんどなく、ほとんど努力も払わずに最低評価のコンテンツを生成AIツールで作成することも可能です。
要するに、他のWebページに記載された内容を、生成AIでごく単純なプロンプト入力によって集め、ただAIに書かせただけのコンテンツは低品質と判定される可能性が高いといえます。
AI生成のコンテンツを大量生産し、Web上にアップロードした場合はスパムとみなされる可能性があるだけでなく、特定のトピックに対して、「努力を怠り」AIに記述させただけのコンテンツは最低評価となるようです。
評価の低いコンテンツがサイト内に増えると、サイト全体の評価への悪影響も懸念されるため、コンテンツを高品質に保つことは、以前に増して重要になります。
AI時代のGoogle検索アルゴリズムアップデート
2024年はGoogleがAI時代に向けたアルゴリズム刷新を加速させた年でした。2024年3月のコアアップデートに加え、8月、11月にも大規模なコアアップデートがおこなわれるなど、アップデート頻度が高まっています*4。
特に3月のアップデートでは新スパムポリシーが導入され、SEO業界に衝撃を与えました。主に、評価の高いサイトの悪用・大規模コンテンツの悪用・期限切れドメイン悪用の3項目についてのアップデートでしたが、これはAIで大量に生成したコンテンツへの対応策だろうと言われています。
しかし、前述のとおり、GoogleはAI生成のコンテンツそのものを取り締まっているわけではありません。
Googleが繰り返し強調しているのは、ユーザーにとって有益なコンテンツかどうかが評価の軸であり、「どのように生成されたか」という手段よりも「質」を重視しているという点です。
Googleは長年にわたり、検索ユーザーの利益を最優先にした“ユーザーファースト”を掲げてきました。近年では、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の概念強化など、ここ数年のアップデート全般で「質の高いコンテンツを上位表示する」という軸が一貫しています。
AI生成コンテンツが今後さらに増えていくとしても、Googleが重視しているのは「生成手段」よりも「質」なので、サイト運営者は品質と独自性を追求していくことが大切になるでしょう。
Google検索の需要の変化
Google検索エンジンには、AI Overview(AIによる概要)が試験的に導入されており、検索結果にもAI機能が登場するようになりました。Google検索結果ページに表示されても、以前よりもクリック率が下がることや、AIツールの検索機能で検索行為を完結する人が増えていくことが予想され、Google検索の需要自体が幾分か減少することが予想されています。
自然検索流入の変化については、下記の記事で詳しく解説しています。
AI検索時代にSEOの価値はどう変わる? 自然検索流入の行方
しかし、自然検索流入は減少が見込まれるといっても、Google検索の訪問者数は、2025年2月月間で66.4億人といまだ圧倒的なユーザー数を誇っています*5。また、AI Overviewや、GoogleのGeminiでの検索は、背後でGoogle検索エンジンの情報を参照して回答を生成します*6。
Google検索結果の上位に表示されることのメリットは依然として大きいです。
独自性の高いコンテンツが以前に増して評価される
企業や個人が発信するコンテンツは、どれだけ専門知識や経験に裏打ちされた独自性を有しているかが勝敗の分かれ目になりつつあります。
AI生成コンテンツが普及している今、以前に増して検索エンジンは、オリジナリティの乏しい大量生産的な情報を排除する傾向を強めています。
これからは従来にも増して、専門知識や経験にもとづく独自性が、順位を決める大きな要素として重視されるようになっています。
・具体的事例や体験談、独自の調査データ
他サイトにない独自エピソードやデータを取り入れることで、訪問者に新たな学びや納得感を提供しやすくなります。
・AIを下書きに活用し、仕上げは人間の編集で
AIによって作業を効率化し、空いた時間で執筆者自身の見解やオリジナル要素を詰め込むほうが高品質化につながります。
AIを活用することでコンテンツの下書きにかかる時間を大幅に削減できるようになりました。浮いた時間を活かし、良質なコンテンツを生み出すための工夫やブラッシュアップに注力することができるのではないでしょうか。
<出典・参照>
*1 AI 生成コンテンツに関する Google 検索のガイダンス | Google 検索セントラル ブログ
*2 Spam Policies for Google Web Search | Google Search Central | Documentation | Google for Developers
*3 General Guidelines P42,43
*4 Google Search Status Dashboard | Google
*5 semruch:google.comの訪問者数で計測
*6 Google AI updates: Bard and new AI features in Search

マーケティングコンサルタント
佐野 陽子
コンテンツマーケティング
BtoB事業会社のインハウスWebチームリーダーとして、コンテンツ制作やWebサイトの運用改善、SEOなどを中心にコンテンツマーケティングを推進。その後、パワー・インタラクティブに参画し、現在は自社コンテンツのディレクションを担当。クリエイティブ分野への深い造詣とビジュアルデザインの知見を活かし、より魅力的なコンテンツづくりに日々取り組んでいる。