コラム

プロジェクトリーダーのための社内交渉力

代表取締役 岡本 充智【文責】

プロジェクトリーダーにとってプロジェクトが成功するかどうかは、どれだけ社内の理解を得て協力関係を引き出せるかにかかっていると言っても過言ではありません。これができなければ、社外関係者とのタスクが順調に進行しても、肝心の社内の壁を越えられずに頓挫することになります。この社内の理解と協力を取りつける能力を社内交渉力(あるいは社内調整力や社内政治力)と名付けましょう。

社内交渉力を向上させるポイントは大きく三つ。
①論理思考で生産性の高い交渉を進める
②相手の行動タイプに合わせた言動をとる
③社内キーマンを味方につける

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 ①論理思考で生産性の高い交渉をすすめる

交渉のポイントは人と問題にあると言われています。人については後ほど考えるとして、問題のとらえ方について考えてみましょう。問題が起こる背景には必ず原因が潜んでいます。問題が結果であるとすれば、原因との関係は因果関係で現わされます。例えば、プロジェクト予算確保が思うようにいかないという問題に対して、図のようになぜうまくいかないのか、その理由を書き下ろしていきましょう。この作業をリーダーひとりでやるのではなく、プロジェクトメンバーと一緒にしていくことで突破口が必ず見つかるはずです。

 ②相手の行動タイプに合わせた言動をとる

人の行動パターンには四つのタイプがあると言われています。協調を優先するか対立をあえて避けないか、行動するか思索するかの二軸で分けると次のような行動パターンにおける四つのタイプが見えてきます。それぞれのタイプには独自の行動パターンがあり、相手がどの行動パターンのタイプなのかを知ることで、コミュニケーションの取り方で失敗してしまうことを避けられます。

主導型の人には単刀直入に用件から切り出しシンプルな表現を心掛けたりします。圧力にうろたえたり漠然と話したりしてはいけません。感化型の人には相手の美点を褒め、相手が興味を示す話題を提供します。資料データの説明に終始したり、会話を独占したりしてはいけません。安定型の人には相手の努力を褒め相手が危険と感じることを最小限にとどめるようにします。いきなり大きな決断を求め、相手の不安を無視してはいけません。慎重型の人には事実と意見を切り分けて裏付けデータや資料を揃えることが大切です。メリットのみを強調したり相手が資料を読んでいるのに話しかけたりしてはいけません。相手がどの行動パターンかを見分けるのには、話し方などから見分ける方法があります。

 ③社内キーマンを味方につける

会社が組織で動いている以上必ずキーマンが存在します。キーマンリストを作成して、プロジェクト推進で難関になると予想されるタスクに協力してくれるキーマンを想定しておきましょう。そのキーマンには先程の行動パターンを把握したうえで、事前に情報提供やプロジェクト内容についての目的や経緯などを伝えるようにしておけば、ここという時の意思決定に大きな力となるでしょう。キーマンには意思決定する役割のある人と、その人が信頼していて対象となる案件に詳しい人と複数いますから、役職だけにとらわれずにキーマンを見極めることが大切です。いずれにしても、社内の他部門のメンバーとの日頃からの交流が生きてきますので、社内横断的なプロジェクトや行事などには積極的に顔を出しておいたほうが効果的かもしれません。

これからは全社課題に基づいたプロジェクトが発足していくことが多くなるのではないか思います。ぜひプロジェクトを通して社内人脈ネットワークを構築し、やりがいのある仕事をしていただくことで、会社の発展と自己の成長とがつながる様にしていただきたいと思います。

岡本 充智

代表取締役

岡本 充智

中期ビジョン策定支援

京都⼯芸繊維⼤学繊維学部卒業。株式会社アシックス⼊社。アスレチック部⾨の商品開発・販売促進を担当。新規ブランド⽴ち上げやブランドマネジャーを歴任。その後、住友ビジネスコンサルティング株式会社に転じ、マーケティング分野のコンサルタントとして戦略デザインの構築・実⾏⽀援に数多くの成果を上げる。1997年2⽉、株式会社パワー・インタラクティブ設⽴。代表取締役に就任。現在に⾄る。

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