コラム

Googleが提供する無料BIツール「Looker Studio」とは

はじめに

Looker Studioは、Googleが提供している無料のBI(Business Intelligence)ツールです。利用しているGoogleアカウントに紐づくGoogleアナリティクス4(以下、GA4)やGoogleサーチコンソールへ接続し、グラフや表を組み合わせて簡単に美しいダッシュボードを作成し、関係者に共有・リアルタイムで確認することができます。

Looker Studioでは、ダッシュボードを構成する部品をドラッグ&ドロップでダッシュボードのエリア(キャンバスエリア)に配置し、表示するデータを選択するだけで、オリジナルのダッシュボードを作成することができます。

本コラムではLooker Studioの特徴、基本的な使い方や、使用例についてご紹介します。

レポート作成にかかっていた時間を削減し、その分施策に時間をかけられるように、是非この機会にLooker Studioをご活用ください。

※ダッシュボードに貴社のGoogleアナリティクス4(GA4)アカウントを接続いただきますが、貴社のアクセスログデータはパワー・インタラクティブには共有されませんのでご安心ください。

Looker Studioの特徴

Looker Studioの特徴について、メリットとデメリットをご紹介します。

メリット

1.無料で利用できる
Looker Studioは無料で利用でき、付与できる権限は『編集』『閲覧』の2つです。
ワークスペースのロールなどは特になく、Googleアカウントを利用できるユーザーであれば、自由にLooker Studioダッシュボードを作成・共有することができます。
※Google Workspace単位で利用が制限されている可能性があります。利用できない場合は、管理者にお問い合わせください。

2.Google関連ツールのコネクタが豊富
マーケターがよく利用するGoogle関連ツールである、GA4、Googleサーチコンソール、Google広告、BigQueryなどのコネクタが用意されており、無料で接続することができます。
その他にも、GoogleスプレッドシートやAmazon Redshiftなど、利用頻度の高いツールと接続することが可能です。

3.簡単にダッシュボードが作成できる
表やグラフを表示するためのエリアである「キャンバスエリア」に、棒グラフ、折れ線グラフ、表、円グラフなどのコンポーネントを、キャンバスエリアにドラッグ&ドロップします。そのコンポーネントに対して、データソース、ディメンション、指標などを設定することで、データを表示することができます。
1ページあたり50コンポーネントの制限はありますが、コンポーネントを配置するキャンバスエリアに制限はないため、パワーポイントのようにコンポーネントを配置し、枠にとらわれないオリジナルのダッシュボードを作成することができます。

4.作成したダッシュボードの共有しやすさ
作成したダッシュボードは、以下の方法で共有することができます。
・メールアドレスで共有
・リンクで共有
・PDFで共有
・メール配信で共有

メールアドレスに対して上記共有の権限を付与することができます。また、共有対象ユーザーが、コンポーネントに設定しているデータソースの権限がなかったとしても、データを確認することができます。

デメリット

1.サポート窓口がない
ヘルプページやフィードバック窓口は用意されていますが、個別サポートはありません。
Looker Studioコミュニティが用意されているため、質問を投稿したり、ディスカッションに参加することは可能です。
Looker Studio ヘルプ
Looker Studio コミュニティ
※Looker Studio Pro(Looker Studioの有償版)では、Google Cloud サポートチームによるテクニカルサポートが利用可能です。

2.アクセス権限の制御がメールアドレスでの閲覧 or 編集のみ
メリットと表裏する内容ですが、権限が『編集』『閲覧』の2つのみのため、ダッシュボードを構成するページごとに共有権限を設けたり、ダウンロードを制御したりすることはできません。
共有範囲を細かく分けたい場合は、共有範囲ごとにダッシュボードをコピーして共有する必要があります。

Looker Studioの基本的な使い方

Looker Studioのダッシュボードは以下のステップで作成することができます。
1.キャンバスの作成
2.データソースの作成
3.コンポーネントの選択
4.コンポーネントの設定

1.キャンバスの作成

下記URLよりLooker Studio のトップページ(https://lookerstudio.google.com/)に遷移します。
「空のレポート」をクリックして、キャンバスを作成します。

2.データソースの作成

手順1の「空のレポート」をクリックすると、データ接続の画面が表示されます。
本画面からデータの接続先を選択します。

本コラムでは、Googleアナリティクス(GA4)に接続します。

『Google アナリティクス』を選択し、アカウント > プロパティ の順番で選択し、画面右下の「追加」をクリックします。

上記手順でLooker Studioでデータを参照できる状態になります。

3.コンポーネントの選択

ヘッダー『グラフを追加』をクリックし、ビジュアルパターンを選択します。

ビジュアルパターンを選択後、キャンバスエリアにマウスを置くと、【クリックして追加するか、ドラッグして描画する】かの動作を行うことができます。
コンポーネントのサイズを設定したい場合は、ドラッグして描画してください。
※コンポーネントサイズは配置後に変更可能です。

4.コンポーネントの設定

コンポーネントのプロパティを開き、描画するデータの範囲を決めます。
データソース、ディメンションなど設定が表示されていない場合は、画面右端にある『プロパティ』をクリックしてください。

指標に「セッション」や、内訳ディメンションに「デバイス カテゴリ」を追加し、コンポーネントが変化することを確認してください。

以上の手順で、Looker Studio のページにデータに接続されたコンポーネントを配置することができました。
同様の手順で1ページあたり50個のコンポーネントを配置できるため、要件を整理して実装してみてください。

Looker Studio実用例と応用

応用的な利用方法について、3つのユースケースを紹介します。

1.Looker Studioダッシュボード上でGA4とGoogleサーチコンソールをつなげる

Looker Studioには『統合』というデータ同士を結合する機能があります。この機能を使用することで、GA4とGoogleサーチコンソールのデータを結合することが可能です。これにより、Webサイトのパフォーマンスをより包括的に理解できるようになります。

ユースケース:ランディングページと検索クエリの統合分析
GA4のランディングページデータとGoogleサーチコンソールのURLデータを結合することで、自然検索経由の流入数が多いキーワードを特定し、それがどのランディングページに結びついているかを分析できます。これにより、人気の検索キーワードと、それに対応するランディングページのパフォーマンスを分析することで、SEO戦略の改善点を特定できます。
例えば、流入数は多いがCV率が低いページがあれば、そのページの内容をUXを改善することで、成果が向上する可能性があります。

2.Googleスプレッドシートに手入力したオフラインデータの可視化

Looker StudioはGoogleスプレッドシートとも連携することができ、オフラインデータの可視化に非常に便利です。
例えば、手入力されたデータやオフラインで収集された情報をGoogleスプレッドシートに入力し、Looker Studioで可視化することが可能です。

ユースケース:イベントの出席者管理
イベントやセミナーの申込者リストをGoogleスプレッドシートに入力し、そのデータをLooker Studioで可視化することにより、出席者の属性や参加状況を視覚的に把握することができます。参加者の人数、業種などをグラフやチャートで表示することで、イベント集客や運営の改善に役立てることができます。

3.GA4データをBigQueryに蓄積し可視化

Looker Studioでは、GA4のデータを直接参照することができますが、この場合、GA4の生データではなく、集計済みデータを扱うことしかできません。GA4のBigQuery Exportを利用することで、GA4の生データ保持期間の制限である14ヶ月間を超えるデータをBigQueryに保持し、詳細な分析が可能です。
また、BigQueryに保存されたデータをLooker Studioで可視化することが可能です。

ユースケース:詳細なデータ分析と関係者への共有
BigQueryでは生データを加工することで、より詳細な分析が可能です。
例えば、特定のユーザー行動やカスタムイベントの詳細な分析、セグメントごとの行動比較など、GA4のインターフェースでは行えない細かい分析が可能です。このデータをLooker Studioで可視化することにより、詳細な分析結果を関係者に共有することが可能です。

最後に

本コラムでは、Looker Studioの特徴と基本的な使い方を解説しました。
Looker Studioは無料で利用でき、かつ、Google関連ツールとの親和性が高いため、BIツール入門としては非常に利用しやすいツールとなっています。

当社では、無料で利用できるLooker Studioダッシュボードを用意しています。下記よりお申し込みいただけますので、ぜひご利用ください。
※ダッシュボードに貴社のGoogleアナリティクス4(GA4)アカウントを接続いただきますが、貴社のアクセスログデータはパワー・インタラクティブには共有されませんのでご安心ください。

当社は、GA4の支援を網羅的におこなっています。GA4の初期設定から、BigQueryを活用した難易度の高い分析用のダッシュボード構築などを幅広く提案可能です。
また、MAツールとGA4を連携させたマーケティングに特化した設定の支援もおこなっています。
興味がある方は、ぜひこちらの「お問い合わせ」からご連絡ください。

八木 耕祐

マーケティングデータアナリスト

八木 耕祐

Web行動履歴やアプリデータによる顧客行動分析

アナリストとして、50社のアクセスログ分析に携わる。現在は、データ設計、データマート構築などの基盤づくりから、ダッシュボード作成、分析まで、データ活用を極めている。セミナー登壇は50回以上、満足度90%以上のセミナーも多数。
リモートワークになり、海の近くでマリンスポーツをエンジョイ中。

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