<Salesforce入門>マーケターが知るべき主要機能と用語集
Salesforceは包括的なCRMプラットフォームで、マーケターにとって欠かせないツールの一つです。マーケターに役立つ主要な機能には、キャンペーン管理、カスタマイザブルキャンペーンインフルエンス、取引先責任者の役割管理、キャンペーンと商談の関係分析、B2B Marketing Analyticsなどがあります。これらの機能を活用することで、マーケティング活動の効率化、顧客データの有効活用、キャンペーンの効果測定が可能になり、ビジネスの成長を促進できます。
※関連ナレッジ資料※
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キャンペーンオブジェクト
概要
「キャンペーン」オブジェクトは、Salesfoceでのマーケティング活動の効果測定を行うために設定する、基盤となるものです。Salesforceにおけるマーケティング活動を一元的に管理しています。この機能を活用することで、広告、メール、イベントなどの多様なマーケティング活動におけるデータを収集し、ROIを分析することが可能です。そのため、キャンペーンは、マーケティング活動の計画、実行、評価を統合的に管理するための中心的な役割を担っています。
活用方法
キャンペーンオブジェクトの各機能およびレポート・ダッシュボードを活用することで、効果的なマーケティング戦略を計画し、実行することができます。階層構造を利用して大規模な施策を管理したり、キャンペーンメンバーの反応を追跡したりすることで、マーケティング戦略の最適化へ繋げることができます。マーケティング活動の成果を評価するために、各施策の効果を測定し、次のステップに活かすことが重要です。
具体例
新製品・サービスの発売に伴うマーケティング施策に対応したSalesforceキャンペーンを設定し、メール施策や展示会、ウェビナーを組み合わせて、ターゲット顧客へのリーチを最大化します。これらの施策により、製品の認知度を高め、顧客の関心を引くことができます。
キャンペーンメンバー
概要
マーケティング施策の効果を測るためには、各マーケティング施策に参加した顧客の管理が必要となります。それを行うのが「キャンペーンメンバー」オブジェクトです。
キャンペーンメンバーは、キャンペーンに関連付けられたリードや取引先責任者を指します。この機能を利用することで、ターゲット顧客の管理や、キャンペーンの効果測定を容易に行うことができます。メンバーの反応を追跡することで、マーケティング施策の効果を評価できます。
活用方法
メンバーの追加、状況の更新、反応の追跡が可能です。この機能を活用することで、各メンバーのエンゲージメントを把握し、フォローアップアクションを自動化することができます。メンバーの行動に基づいて、ネクストアクションを設計し、より効果的なマーケティング活動を展開します。
具体例
ウェビナー施策のキャンペーンを作成し、参加したリードや取引先責任者の状況を「キャンペーンメンバー」オブジェクトで管理します。その情報を取得することで、例えばウェビナーに参加したメンバーに対して、次回のウェビナーの事前登録案内を優先的に送信するなどの施策を実施できます。さらに、全てのウェビナーに参加したメンバーには、個別アポイントの申し入れを行います。これにより、継続的な顧客接点を維持し、ロイヤルティを高めます。
キャンペーンメンバーの状況
概要
キャンペーンメンバーオブジェクトを活用することで、各マーケティング施策に関わる顧客の個別の状況を管理することが出来ます。Salesforceでは「キャンペーンメンバーの状況」を利用して管理します。
キャンペーンメンバーの状況を利用することで、例えば顧客の施策への反応やイベント参加状況を記録することができます。そしてその状況を活かして、キャンペーンの進捗状況を把握し、効果的なフォローアップを行うことができます。状況には、「送信済み」「開封済み」「クリック済み」「参加」などのステータスがデフォルトで設定してあり、これらを基に顧客をセグメント化することが可能です。キャンペーンの効果をより詳細に分析し、次回の施策に活かすことができます。
活用方法
デフォルトの状況以外にもカスタマイズして設定した状況に基づいてセグメント化も可能です。特定の反応を示した顧客に対して、ターゲットを絞ったフォローアップ、メール施策を実行し、適切なメッセージを届けることができます。
具体例
イベント招待メールを送信し、開封済みの顧客に対してリマインダーメールを送るなどのアクションを設定します。イベントへの参加率を向上させ、顧客との関係を強化します。
キャンペーン階層
概要
これまで解説してきた通りSalesforceでは、キャンペーンオブジェクトを使って、マーケティング施策を管理します。
その際、単体のマーケティング施策(2024年8月度メルマガなど)の単位で効果測定をすることもありますが、一連のマーケティング施策(2024年度メルマガなど)の単位で効果測定をしたいというニーズもあります。その際に活用するのが「キャンペーン階層」機能です。
キャンペーン階層は、複数のキャンペーンを親子関係で関連付ける機能です。最大5階層まで設定可能で、大規模なマーケティング施策を視覚的に管理できます。
活用方法
階層を利用することで、個々の施策の効果だけでなく、全体的なマーケティング活動のROIを分析することができます。これにより、各施策の相互作用を理解し、リソースを最適に配分することが可能です。
具体例
年間マーケティング戦略を管理するキャンペーンを最上位に設定し、四半期ごとの施策を中間層に、月別の施策を下位層に設定して管理します。これにより、長期的な戦略と短期的な施策を統合的に管理し、効果を最大化します。
カスタマイザブルキャンペーンインフルエンス
概要
マーケティング施策の効果測定を行うためには、Salesforceのキャンペーンと商談の情報を紐づける必要があります。その際に使用するのが「カスタマイザブルキャンペーンインフルエンス」です。
カスタマイザブルキャンペーンインフルエンスは、キャンペーンが商談に与える影響を測定・分析するための機能です。標準およびカスタムの属性モデルを使用して、収益分配を識別します。これにより、複数のキャンペーンが関与する複雑な商談プロセスにおいても、各キャンペーンの貢献度を正確に把握し、マーケティングROIを最適化することができます。
活用方法
カスタマイザブルキャンペーンインフルエンスを活用することで、マーケティング活動の効果を詳細に分析し、戦略的な意思決定を支援します。これにより、効果的なキャンペーンを特定し、マーケティング投資の最適化が可能になります。
具体例
ファーストタッチモデルを使用して、最初に顧客と接触したキャンペーンに商談金額を割り当て、その影響を分析します。これにより、どのキャンペーンが最も効果的であるかを特定し、今後の戦略に活かします。

写真1:カスタマイザブルキャンペーンインフルエンス
取引先責任者の役割と商談の紐づけ
概要
取引先責任者の役割と商談の紐づけは、商談に関与する各取引先責任者の役割を明確にする機能です。
活用方法
カスタマイザブルキャンペーンインフルエンスを使ってマーケティング施策の効果測定を行う際に必要となる設定が、取引先責任者の役割と商談の紐づけです。
「意思決定者」「影響者」「技術評価者」などの役割を設定できます。そうすることで、商談プロセスにおける各関係者の重要性を把握し、適切なアプローチを取ることができます。商談の成功率向上にも貢献します。
また、商談と取引先責任者の役割を紐づけておくことで、どのキャンペーンがどの商談に影響を与えたのかを管理するキャンペーンインフルエンスレコードの作成を自動化することも可能になります。
具体例
新規商談において、商談の発注権限を持つキーマンとなる取引先責任者を意思決定者として設定し、商談の進行における重要なポイントでアプローチをします。これにより、商談の進行をスムーズにし、成功率を向上させます。

写真2:取引先責任者の役割と商談の紐づけ
キャンペーンと影響を受ける商談レポート
概要
キャンペーンと影響を受ける商談レポートは、カスタマイザブルキャンペーンインフルエンスによって各キャンペーンに分配された商談金額を可視化するためのレポートです。このレポートを使用することで、どのキャンペーンがどの商談に影響を与えたかを詳細に分析できます。また、分析を元に最も効果的なキャンペーンを特定し、マーケティング戦略の最適化や予算配分の意思決定に活用することができます。
具体例
特定のキャンペーンが商談の成約率を向上させた場合、そのキャンペーンの成功要因を分析し、次回のキャンペーンに活かします。本レポートのデータを活用することで、マーケティング活動の効果を最大化し、ビジネスの成長を促進します。

写真3:キャンペーンと影響を受ける商談レポート
B2B Marketing Analytics
概要
B2B Marketing Analyticsは、マーケティングと営業のデータを統合し、高度な分析を行うためのツールです。このダッシュボードを利用することで、キャンペーンのパフォーマンス、リードの質、商談の進捗状況などを包括的に分析できます。データドリブンな意思決定が可能となり、マーケティングROIの最大化と営業効率の向上を実現できます。
具体例
ダッシュボードを使用して、各キャンペーンのリード獲得数や商談転換率をリアルタイムでウォッチし、データドリブンな意思決定を行います。これにより、マーケティング活動の効果を最大化し、ビジネスの成長を促進します。

写真4:B2B Marketing Analytics
まとめ
Salesforceのマーケティング機能を戦略的に活用する
Salesforceの主要なマーケティング機能を理解し、効果的に活用することで、商談化を見据えたマーケティング活動への改善が可能になります。特にキャンペーン管理、カスタマイザブルキャンペーンインフルエンス、取引先責任者の役割管理などの機能を利用することで、データドリブンな意思決定が可能になります。マーケターとして、Salesforceの機能を深く理解し、戦略的に活用することが、今後ますます重要になっていくと言えます。
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マーケティングコンサルタント
小畑 敬裕
Salesforce Sales Cloud活用支援
マーケティングコンサルタントとして、Salesforce Sales CloudとAccount Engagementの導入・運用支援を得意とする。UX設計に基づくデジタルマーケティング戦略策定やマーケティング施策効果の可視化にも強みを持つ。B2B企業を中心に多数の支援実績があり、ペルソナ作成やマーケティング分析を通じたコミュニケーションシナリオ策定など、クライアントの課題解決に貢献。休日はバスフィッシングを楽しみ、自然の中でリフレッシュしている。