コラム

第2のデータ活用時代へ:MCPと生成AIが導くマーケティングの進化

文責:マーケティングコンサルタント 中嶋 正生

はじめに|「社内データをどう活かせば、売上につながるのか?」

ここ数年、筆者はずっとこの問いに向き合ってきました。マーケティングにおいてデータドリブンの重要性が叫ばれる中で、社内データを整理し、活用する地道なデータマネジメントに取り組んできました。

従来は、ETLツールを用いてデータをDL(データレイク)に集約し、DWH(データウェアハウス)を構築、そこから目的別にDM(データマート)を作成し、BIツールを使ってダッシュボードで可視化…という一連のプロセスが主流でした。

この工程を最初はスクラッチで構築していたため、導入に3〜4ヶ月かかっていましたが、独自のプロビジョニングツールを開発したことで、1週間程度での構築が可能に。結果として、紙のレポートやExcel集計業務の削減には大きな成果を得ることができました。

しかしその一方で、人事異動や予算改訂など組織改編によりダッシュボードがすぐ陳腐化するという問題も浮上。さらに、分析軸や項目の変更に柔軟に対応するのは容易ではなく、メンテナンスの負担は無視できない状況でした。

AI導入の模索と、RAG(検索拡張生成)の限界

この「不毛な作業」をAIで補完できないか? そんな問題意識から、昨年より生成AIの導入と検証を重ねてきました。

特に注目したのが、RAG(Retrieval-Augmented Generation)です。これは、LLM(大規模言語モデル)に外部の社内データを組み合わせることで、正答率やリアルタイム性を補強する手法として注目され、2023年には多くのベンダーがRAG構築サービスをリリースしました。

RAGのメリットとデメリット

メリット デメリット
既存DBやナレッジを使ってLLMを強化できる 実装・運用が複雑(ベクトル変換、専用ストレージの準備等)
時事性や正確性を担保しやすい セキュリティ・ガバナンスの配慮が必要
柔軟な応答が可能 継続的な維持運用にコストが発生

PoC段階では成果が見られたものの、実装や保守のハードルが高く、特に中小〜中堅企業にとっては導入障壁が大きいという課題が浮き彫りになりました。

転機となった「MCP(Model Context Protocol)」との出会い

次に着目したのが、MCP(Model Context Protocol)です。
MCPサーバを用いることで、MA/SFA/CRMなどの業務データや既存のDWHへ直接アクセスし、それを生成AIに参照させることができます。

これにより、「社内の業務データとAIの自動連携」がノーコードで可能になる世界が現実に。

MCPはGitHub上でもOSSとして公開されていますが、2025年5月、CData社が商用版「CData MCP Server」をリリース。これにより、ビジネスユースでの本格運用が可能となりました。

MCPについてさらに詳しく知りたい方は、CData社 杉本氏による解説記事(MCP入門)をご参照ください。

現在、筆者はこのMCPサーバとClaude Desktopを活用し、従来のモニタリング&効果測定ダッシュボードを完全置き換え可能かどうかを検証中です。

ノーコードでダッシュボード編集|BIの常識が変わる

Claude上にて公開したMCPベースのダッシュボード(デモリンクはこちら)では、タブの自動生成、軸変更、項目追加などが非エンジニアでも可能

従来BI(Looker Studioなど)と比較して、操作性・柔軟性ともに飛躍的に向上しています。

また、定量分析に強いBIと異なり、MCP+AIでは定性分析(文章解釈・要因分析)もシームレスに実施できます。場合によっては、データアナリストが不要になる場面すら出てくるでしょう。

セキュリティとコスト

項目 内容
セキュリティ 自社開発・商用版。学習データには用いられない設計
コスト CData MCP Server+AIプラットフォーム利用料が発生。ただし2025年12月までCData MCP Serverは無償で提供中。Claude Desktop等も一部無償プランあり。

PoCとして導入するには非常に現実的な選択肢と言えます。

今後の展望|AIとデータ活用の次の一手

以下のCData MCP Server ロードマップも、先日のセミナーで発表されました。

・Mac対応版のリリース
・他AIエージェントとの統合支援
・Connect Cloud連携によるリモートMCP利用

今後は、誰でも簡単にAIとデータ活用ができる時代に入ることは間違いありません。これまでBIやデータ基盤の導入に二の足を踏んでいた企業にとっても、「第二のデータ活用時代」が始まろうとしています。

パワー・インタラクティブでは、「マーケティング・データマネジメント推進サービス」を提供しております。
AI×データ活用をご検討の方、より詳しく知りたい方は、まずはお気軽にご相談ください。

中嶋 正生

マーケティング・コンサルタント

中嶋 正生

データ基盤・データマネージメント推進

組み込みOS、DBミドルウェアの開発、海外製品の日本市場への展開、自社プロダクトの開発、アライアンス、カスタマーサクセス、コニュニティー運営など、日本企業、および、外資系企業で、多岐にわたる職種を経て、現在は、データを活用するまでの「仕組みづくり」に拘り「マーケティング・データ基盤」の構築やデータマネージメントの推進に注力。

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