アマチュアバンドは、グーグルの提唱する「効果的なチーム」そのものだったという話

「心理的安全性」という言葉を世に広めるきっかけになったのは、グーグルの「プロジェクト・アリストテレス」という社内研究です。

このプロジェクトは、「全体は部分の総和に勝る」というアリストテレスの名言から名付けられたもので、「効果的なチームを可能とする条件は何か」について分析されています。

「心理的安全性」はその最も大きなものですが、他の要素に目を向けてみると、アマチュアバンドという組織がぴったりそれに当てはまることに筆者は気づきました。

「プロジェクト・アリストテレス」

プロジェクト・アリストテレスが対象としたのは、メンバー数3〜50名のチーム(中央値は9名)です。

そして、客観的にチームを評価するために、以下の4つの観点から「効果性」を測定しています*1

  1. マネージャーによるチームの評価
  2. チームリーダーによるチームの評価
  3. チームメンバーによるチームの評価
  4. 四半期ごとの売上ノルマに対する成績

その結果、効果的なチームに固有の力学を突き止めています。効果的なチームには、以下の5つの因子があるというのが結論でした。

  1. 心理的安全性(対人関係においてリスクある行動をとっても不安を感じない)
  2. 相互信頼
  3. 構造と明確さ(職務上で要求されていること、要求を満たすためのプロセス、メンバーの行動がもたらす成果をメンバーが理解している)
  4. 仕事の意味(仕事そのもの、または成果に対して目的意識を感じられる)
  5. インパクト(自分の仕事には意義があるとメンバーが主観的に思える)

そしてこれら5つの要素には、階層性があります(図1)。

図1 :「効果的なチーム」に特有の5因子

こうして眺めてみると、筆者が属している「ある組織」では上記5つの要素が満たされていると感じました。

筆者は趣味でサックスを演奏しています。そして仲間とバンド活動をしています。アマチュアバンドもひとつの「組織」です。リーダー(バンマス)が存在し、メンバーが存在し、チーム全員でひとつの曲を完成させるという作業を行うチームとも言えます。

実はこれが、グーグルの指摘に似ているのです。

アマチュアバンドと「心理的安全性」

アマチュアバンドの特性を、グーグルが導き出した要素に当てはめてご紹介したいと思います。

まず、「心理的安全性」です。
心理的安全性についておさらいすると、このようなものです。

心理的安全性とは、対人関係においてリスクある行動を取ったときの結果に対する個人の認知の仕方、つまり、「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうかを意味します。心理的安全性の高いチームのメンバーは、他のメンバーに対してリスクを取ることに不安を感じていません。自分の過ちを認めたり、質問をしたり、新しいアイデアを披露したりしても、誰も自分を馬鹿にしたり罰したりしないと信じられる余地があります。

「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動」。これは日本人の場合多くは「恥ずかしいこと」として受け止められることでしょう。

しかし、バンドでは、まず全員がメンバーの前で自分の音を出さなければ始まりません。また、個人として完璧な状態になってから集合しよう、というのでは限りなく時間がかかってしまいます。自分の演奏にある程度納得がいくかどうかはその人次第ですし、極論、楽器演奏に「完璧な状態」などないからです。

まずはみんなでそれぞれの音を出してみる。そこから全てが始まります。

またアマチュアバンドでは、誰かが大きなミスをしたことが理由で大喧嘩することはあまりありません。それを笑いに変えることすらあります。一方で、そのミスの話題をいつまでも引きずったりはしません。

相互信頼、構造と明確さ

そして、他の因子も当てはまるなと感じています。

相互信頼=「チームメンバーが他のメンバーが仕事を高いクオリティで時間内に仕上げてくれると感じている」ということについては、メンバーそれぞれの生活は違うものの、本番が近づくと急に曲の仕上がりが良くなることはよくあります。

むしろ、スタジオではそれ以上の出来事が起きます。
突然、これまでに聞いたことのなかった「すごい」音色をあるメンバーが奏で始めることがあります。すると、全員のテンションが上がり、スタジオにも良い緊張感が走り、全員の音が格段に良くなっていきます。この瞬間が醍醐味かもしれません。

ひとりのメンバーの頑張り、あるいは偶然が他のメンバーに良い影響を与えていくのです。
逆に、このようなバンドでないと長続きしないというのもまた事実です。

構造と明確さについては言うまでもありません。それぞれ担当している楽器が違いますから個人の役割は明確ですし。チームの目標は「良い演奏をする」というたったひとつ、シンプルなことです。

次いで「仕事の意味」「インパクト」については、楽器演奏が好きという自分の欲求が満たされますし、互いに違う楽器を持って集まっているのですから、自分の仕事の意義を感じているのは当然のことです。

早期解散してしまうバンドの特徴

一方で、早期に、あるいは思わぬ形で解散してしまうバンドがあるのも事実です。

理由としては以下のようなものがあります。

  • 目指す質が違う。
  • コミュニケーション不足。
  • リーダーのトップダウンだけで物事が決まる。
  • 誰か一人が、自分の意見を強引に押し通そうとする。

ある日突然メンバーが音信不通になってしまうバンドも珍しくありません。
意見を言いにくいことを溜め込んでしまい、我慢の限界を超えてしまうのでしょう。

一方で良いバンドにも共通点があります。

  • 練習後に食事をしていると、メンバーを褒める話題とアイデアの出し合いが尽きない。
  • 「次はこんなことをやりたい」という、「目標ストック」が多い。
  • 「苦手を克服したい」と全員が思っている。 など

心理的安全性を測る7つの質問

「心理的安全性」という概念を最初に提唱したのは、ハーバード大学のエイミー・エドモンソン氏です*2

そして、エドモンソン氏はチームの心理的安全性がどの程度のレベルにあるか調べる際、次の7つの要素が自分に強く当てはまるかどうかをメンバーにたずねます。

  1. チームの中でミスをすると、たいてい非難される。
  2. チームのメンバーは、課題や難しい問題を指摘し合える。
  3. チームのメンバーは、自分と異なるということを理由に他者を拒絶することがある。
  4. チームに対してリスクのある行動をしても安全である。
  5. チームの他のメンバーに助けを求めることは難しい。
  6. チームメンバーは誰も、自分の仕事を意図的におとしめるような行動をしない。
  7. チームメンバーと仕事をするとき、自分のスキルと才能が尊重され、活かされていると感じる。

1、3、5は悪い傾向、それ以外は良い傾向を測ることができそうです。

また、グーグルは、「心理的安全性を高めるためにマネージャーにできること」というドキュメントを公開しています*3

メンバーが自分を開示しやすく、アイデアを出しやすい。
早期解散とならないよう、良いチームを目指していきたいものです。

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この記事を書いた人

清水沙矢香

2002年京都大学理学部卒業後、TBSに主に報道記者として勤務。社会部記者として事件・事故、テクノロジー、経済部記者として各種市場・産業など幅広く取材、その後フリー。取材経験や各種統計の分析を元に関連メディアに寄稿。